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古建築の塀デザイン

今回の取材ツアーで、ある発見をしました。
写真は、福島県いわき市の小名浜北方の「中之作」地区に残る古民家の塀。
たいへん美しい古建築で、
造り酒屋さんの伝来の重厚なたたずまいでありました。
で、その塀は下の方が石積みで固められていて、その上に土台的な横架材が渡され
そこから木造の上部が組み上げられています。
その上に長期耐久性を考えて屋根も架けられているのですが、
その屋根が浮き上がって掛かるようなデザインになるように
ごらんのような「欄間」が造作されています。
非常に繊細なディテールといえますが、さらに、
その欄間にはちょうどバッテンに木格子が嵌められていました。
その端部は釘で固定されていましたが、しかし格子が組み上げられる交差点では
金物は使われず、きちんと木の組み合わせによって仕上げられていました。
大工仕事と言うよりも、腕のいい建具職人さんの仕事のように感じられました。
このようなデザインでの古い時代の職人技なのですが、
さて、用としてはどういうことなのか、
庭の植物や本屋建築、さらには塀の屋根構造の水分からの長期耐久性のために
通風を確保させるのが一般的理解でしょうが、
なにかもっと奥行きのある性能要件であったのかも知れないなぁと、
想像を巡らされていた次第であります。
そんな発見があった後、
こんどは、そこから南下すること約100kmの水戸偕楽園のなかの古建築
「好文亭」の塀も見ました。

バッテンの木組みの間隔に違いはあるようですが、
デザイン的には同じような外観の仕上げになっております。
ということは、どうも、こういう塀上部のデザイン仕上げは
一般的に広く行われていたのでしょうね。
こういうのに、まったく知識がなく
不勉強だったなぁと思わされたのですが、面白く見せていただきました。
こういうディテールへの職人的な忠実さは
日本人の感覚から生み出されてくるモノなのか、
その繊細な感受性の発露に、驚くような印象を持たされた次第であります。
外観的に見たら、この通気用途の空洞が、塀で囲まれた内部の庭に対する
ワクワク感を「垣間見せ」ていると思うし、
緑のグラデーションが、微妙な不連続と連続を外に対して見せるので
その建築的空間の美を、より引き出させる演出的装置になっている。
ふむふむふむと、やや圧倒されるような思いを持った次第です。
すばらしいなぁ・・・と。

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