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寒冷地住宅の解体

最近、わが家のすぐ近く、
ウチの居間からまっすぐに外観が見える立派なお宅が
解体されております。
「あれま、どうしたんだろうね?」
と、気になっておりましたが、どんどん解体は進んでいく。
どうもリフォームとかではなく、本格的に解体するようであります。
きれいな大屋根で切り妻、一部が庭を囲むようにL字平面のようでした。
お庭も丹精されていたようだったので、
まさか、解体されるとは思ってもみませんでした。

で、よく見ると
外壁側にすっぽりと板状断熱材・FP板による断熱の施された
外張り断熱の家でした。
よく意識的に木造でも「外断熱」という言い方をするケースがありますが、
正しくは「外張り」断熱であります。
わが家が建ってからすでに22年目で、そのときにはこのお宅は建っていたので
それ以上の経過年数のお宅。
そういった「外張り」断熱の状況がどうであったか?
ちょうどいい機会だなぁと思って時々見学しております。
わが家はコンクリートブロックの外断熱で、外壁側に50mmのFP板断熱ですが、
どうもこのお宅では、FP板は25mm程度のようです。
気積(家の中の立法体積)が、大屋根の屋根なりの天井だったようなので大変大きく、
そのバランスから言うと、やはり断熱材が薄かったのではないか。
壁と屋根の厚みがほぼ同程度なので、
とくに屋根面は物足りないかも知れません。
しかし、構造材の状態を見ると、部位によって変色がある、という
そういった状況は見られない。
いわゆる「壁体内結露」は発生していなかっただろうと思われます。

北海道の住宅も
ようやく寒冷地住宅としての工法が確立して以降の
建築が、このような検証が出来るような状況が出てきます。
この建物で言えば、やや寒かったかも知れないけれど、
建築駆体としては、この状態であれば、
ここから後、20年や30年は持ち続けるのは問題がないと思われました。
もう少し断熱材を厚くする必要性はあるにせよ、
比較的に長期にわたって、北海道の住宅性能レベルは
維持されるようになってきたのでしょう。
そうだとすれば、これからは、それ以外の存続理由に配慮する建物が求められるでしょう。
それは必ずしも建築的技術だけの問題ではなく、
建物への愛着という、いわば「住み方」「家の使い方、家との付き合い方」
というような、生活の文化性の熟成のほうが大切になるかも知れない。
そんなことを思い起こさせられておりました。

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