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北東アジア民族の審美眼

写真は、網走市の「北方民族博物館」の展示から。
確認しましたが、写真は撮影フリーとなっています。念のため。
この博物館、わたしは奈良から平安時代に掛けて
日本のオホーツク海沿岸地域に住み着いていた「粛慎」民族、
一般的には、オホーツク文化人と呼ばれているひとたちの記録を収めている
と想像していて、機会があれば行きたいと念願していた施設です。
で、行ってみたらくだんの民族については
「謎のオホーツク文化」という一文の展示があって、
若干の概括的説明があったきりでした。
まぁ、その点ではがっかりと言うところでしたが、
しかし、より広く、北東アジアから北極圏地域にまで広がる諸民族について
その日本側受け入れ地域であるオホーツク沿岸にふさわしく資料展示されています。
日本列島は南北に長く、アジア大陸に対して平行している。
なので、南方からも西方からも北方からも、
多くの民族交流が行われてきたことは当然のことだと思います。
ところが、これまでは文化的に優勢であった
中国や、朝鮮半島からの輸入文化に偏重した歴史観が強く、
そちら側だけが存在して、他はなきがごときの認識が日本史の基底だと思います。
近年、歴史研究の姿勢に大きな変化が起こっていて、
それは「学際」的な研究へのスポットライトが強く当たってきていること。
これまで発掘事物を中心に想像力を働かせてきた考古学と
残された文献から研究してきた歴史学が、とくに北海道東北の北方地域では
両方から同じ歴史時間に迫って、研究成果を共有するという方向が出てきているのです。
今週末には、山形市でこうした研究の公開ゼミナールも開かれることになっています。
同じ北方にあって、住宅文化のテーマでは大きく関わりもあって、
強く興味を抱いている動きであります。
わたしとしては、とりあえず人文的な部分での北方民族の大きな流れを把握し、
そして北の住宅文化から、現代への照射ということをにらんでいる、というところ。
そんな流れで、この博物館に見学に来た次第です。
大変面白い住宅への発見もあったのですが、
そういった興味からの見学での様子を何回かに分けてご紹介します。

前置きが、どうしても長くなるなぁ(笑)。
しかしまぁ、仕方ありませんね。
で、最初に「衣」のコーナーがありまして、「ナーナイ」という
中国東北部・黒竜江周辺の民族の花嫁衣装であります。
やはり女性の美しさを際だたせたい、というのは人間社会共通の文化。
どういうポイントで美しさを表現しようとするか、
その民族の感受性を表現しているのだと思います。
動物の皮革性のブーツが大きく目立っていると思います。
寒い地域と言うことで、履き物はこういうことになるのでしょうが、
ファッションとしては、ここが基本になっている気がします。
これが決まってから、それとのコーディネートを考えていったら、
少し活動的な雰囲気のものになっていったのでしょうか。
それとも、騎馬民族的な文化がその底にあるということなのでしょうか。
白が基本になっている、というのは白無垢という日本文化とも通底する?
しかし、腕の裾やスカートの下部、胸元にかけられた衣類など、
模様や色彩感覚は、まことに魅惑的ですね。
帽子もセットになっているようですが、
日本の角隠しと似たようなものなのかなぁ。
まぁ、活動的な衣装なので、もっと実用的な意味合いに違いないと思います。
こういう衣装、日本や朝鮮といったモンゴロイドの女性の美しさの
ひとつの形にはなりうるだろうなと思いますね。
とても現代的な感じがして、
全然古さとかは感じませんでした。
こういうデザインがこの冬にでも出てきたら、案外人気が出そうでもあります。
う〜〜ん、すばらしい、と見学が始まった次第です。

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