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書斎の「空間品質」とは

写真は、先日の見学会でのひとこまです。
住宅街だけれど、郊外立地であり、
防風林に面しているので市街化調整区域であるこちら側の緑は保存され続ける。
建物からは北側になるのだけれど、
眺望という面で見れば、北側の緑というのは
光の環境が安定していて、しかも目に優しい。
この防風林は常緑系の木が多く、
冬場にも、安定した視界環境が得られる。
こういう環境の中に置かれた書斎に座って、そこからの眺望と
窓の開け方をチェックしてみた次第です。
まぁ、書斎空間としての、というよりは
土地選び、その品質というような事柄ではありますが、
しかし、書斎などの精神活動の場って、
これからの知的な高齢者の住まいにとって
かなりウェートの高まる部分なのではないだろうか。
団塊の世代がかなり高齢者になって、
そういうマーケットを主導するようになっていくときに、
やはり「空間品質」ということは相当に問われていくのではないか。
そんなことを考え続けております。
わたし自身は、都市生活の中にいるので、
眺望という部分、そしてそこからの風景の内容などには
思いを致すことは叶わぬ夢と割り切らざるを得ないのですが、
しかし、そういう感受性のニーズとしては、
より精神性を刺激してくれるような環境への思いというのはある。
可能であれば、こういう環境の中で読書したり、
ブログを書いたり、表現活動に没頭できたらいいなぁと
そんな思いは募るのですね。

大震災以降、そういえば、
家の中の空間についての日本人の嗜好の変化が
さてどのようになってきているのか、
自分の感受性というセンサーでは、
家族という存在のかけがえの無さというものが、
どうも深く心の領域を占め始めているように思っています。
ただ、それは、発達した個人主義の風潮の中で
あくまでの「個人」という部分を最大限尊重した上でのもののようで、
「個人的な嗜好性の満足」の上に成立するモノだと思います。
そういう前提を満たした上で、
さて家族関係をどのように調和させていくのか、
いろいろな意味で、やはり住宅デザインが面白くなっていく予感は強い。
ただそれが、これまでのひとつのパターンとしてのように、
建築家の個性選択というように展開するのかどうかは疑問だと思います。
また、それだけでは面白くない。
やはり施主の立場からの創造的な切り込みが楽しそうなんですが・・・。

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