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【円山自然林の古老・カツラの巨木】


明治の札幌開拓初期というのは、新型コロナ禍が始まる前、
このブログで「始原期」を発掘するシリーズを展開しておりました。
北海道は日本の本格的殖民が始まってからまだ150年前後であり、
まったくの自然と人工物とのあわい共存が各所で確認できる。
人の足跡の面でも比較的に「掘り起こしやすい」。
同時にもともとの原始札幌の様子も驚くほどに各所で見られる。
基盤になる「自然公園」思想が北米から開拓技官として来てくれた人々の献策で
色濃く残されてきている、日本ではちょっと変わった街であります。
開拓建設の司令塔であった黒田清隆自身も当時有数の国際人であり、
明治帝の信任も篤かったことから、こんな世界標準的な残滓がみられる。

いまは「札幌市中央区」という都心近接地域に「円山自然林」が
ほぼ手つかずのような開拓以前の面影を色濃く残して保存されている。
京都のような「和の情緒感」で徹底的にデザイン処理された街とは
対極的な位置にある「風と土のデザイン」そのままとでもいえる。
同じような「碁盤の目」状の街割りで似ているけど、組成はまったく違う。
この円山自然林周辺はわたしの2つの散歩道のひとつなのですが、
連休中は「とにかく家にいる」知事さんの方針に素直に従っていたので、
ふだんよりも時間をかけて散策しておりました。
おかげさまで同好のみなさんと情報交換させていただき、
目を奪われるような色合いの羽毛をまとった小型の「渡り鳥」を見たりした。
子どもさんたちといっしょにその姿カタチに目を瞠らされていた。
そんななかでふだんは気付かなかった「円山の森の主」と対面。
それがこの写真の「カツラの古木」であります。
相当の古木のようですが樹齢はよくわかりません、誰も調べていないようです。
円山のふもとの立ち上がりのような位置に自生して株分かれぶりが顕著。
自然的な力でかいくつかの幹先で、折れたりもしているけれど、
どんどんと株分かれして生命力旺盛な様子が伝わってくる古武士的な勇姿。
この古木を愛しているみなさんが、踏み固められた根周辺部の土を見て
「カツラが窒息している」と気付かれて、周辺にロープを張って
保存修復の活動を始められているということだそうです。
ふだんの散歩道からは数十メートル離れていたのですが、
この連休でどこにも行けなかったことで、新たな発見が出来た次第。
いまはまだ緑はそう多くはなく、冬枯れの中、
幹の様子が露わになっていて、これはこれで迫力がある。
根の部分の繁茂ぶりもハンパなくて、その生命力に深くうたれる。
人間には印象的な木というのがそれぞれ何本かはあると思いますが、
1kmほど離れた北海道神宮境内にはごらんのような「御神木」もある。

こちらの方は、円山公園駅から神宮本殿にいたる道に面しているので
わたしのような「ファン」もたいへん多く横綱のようにロープも渡されて、
丸い土俵のような地面区画とあいまってPOPな雰囲気が楽しい。
こちらは「カシワ」の古木であります。
自然林の中の歳月を経てきた古木たちには独特の気品がある。
これからも迷える衆生を見守っていただきたいと手を合わせております。

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