きのうは仙台に移動して、東北フォーラム主催の公開シンポジウムに参加。
主題は「ZEH」であります。
ZEHという国の施策に深く関与されている早稲田大学の田辺新一教授の
基調講演を受けて、いわば民の側というか、
寒冷地で住宅を作る立場からのナマの声を具申するような役割として
わたしにお鉢が回ってきて、参加させていただいた次第。
わたしは、なにやらZEH反対派の急先鋒のように擬せられているのでしょうか。
東大・前真之先生から「トランプ三木」と挑発もされていますが(笑)。
まぁ論議の活性化にとって、スパイスも必要ということでしょう。
寒冷地・北海道東北は、削減可能な家庭内エネルギーという意味では
暖房エネルギーが主要になる。
しかし、それは本然的に寒冷地では欠かしにくい必須要件でもある。
ここを削減するためには基本的に断熱強化しかありえない。
その上で設備設計をより深く検討していくことになる。
ZEHのために現実に起こっていることでは、設計上「非暖房室」を拡大させる
そういう不可解な対応をせざるを得ない。
全室暖房は、住宅のいごこちと耐久性を高めるために
寒冷地住宅が基本課題としてきたことだけれど、
ZEHの制度としては局所間歇暖房を選択する方が合目的的。
寒冷地側からすればまずは最初のボタンから、どうも勝手が違う。
しかし、国際的な目標としてのゼロエネルギー化はまったく同意できる。
理念についてはまったく同意できることを、
困難を乗り越えてどう対応していくのか、というスタンスでしょう。
寒冷地はどういう方向感覚を持ってZEHに対処すべきなのか、
しかしまだ、明確な方向性は指し示されていないと思います。
施策推進側の経産・国交・環境という中央3省の側でも
こうしたZEH受容困難地域に対しての施策は工夫されてきている。
ニアリーZEHなどの柔軟な対応がそれにあたりますが、
来年度での施策を見ると、日照確保の困難な
大都市密集地域への対応も考えられてきている。
こういった「変化」は寒冷地側が真摯に意見具申した結果でもある。
否定するのではなく、よりよい国策に育っていくように家を作る側と
制度設計側の両者がユーザー利益ファーストで協同していくべきでしょう。
どうしても田辺先生との対論的なスタンスにはなったのですが、
そのような結論には同意できた次第です。
セミナー後もお忙しい田辺先生から「飲みながらもう一回戦(笑)」みたいに
ホットに意見交換できてまことに有意義な対話だったと思います。
セミナー最後にあたって、こういった設備設計についても、
ユーザーが長期的にその家に愛着を持てる、
作り手も理念として誇りを持てるアプローチが必要ではと意見しました。
結局家づくりはユーザーと作り手の人間同士の共同作業。
ある通底する共感の部分がそこになければ長続きしないのではと思います。
Posted on 2月 22nd, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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