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【進化する「木造仮設住宅」熊本ではRC基礎実現】



きのう、東北フォーラム研修メンバーが熊本で集合。
被災から1年4カ月ほどの震災復興状況を見学・視察しました。
熊本駅にはZEH推進協議会代表もされていて、先週にもお目にかかった
小山貴史氏に出迎えていただきました。
小山氏から今回の熊本震災での住宅被災や復興の概要を聞き、
その後、田邊肇・熊本県建築住宅センター専務理事のご案内で
被災状況や応急仮設住宅の状況を現地視察しながら、ご説明いただきました。

震災の状況については、各種報道などがされていますので、
ここでは、震災の度ごとに建設され続けてきた「応急仮設」についてご紹介。
東日本大震災ではわたしも東北で住宅雑誌を出版するものとして、
その状況を知らせる活動をしてきたのですが、
応急仮設住宅について、福島県ではじめて本格的に地域の作り手による
「木造仮設住宅」が多様に実現しました。
それまでのプレハブ住宅協議会だけでの建設ではなく、
自らも被災者である地域の工務店・大工がネットワークを組んで
被災者のくらしに温もりとやすらぎを得られる木造住宅建設に取り組んだ。
応急仮設は期限も区切られた災害支援活動として取り組まれる施策であり、
その後は撤去されることが法で定められている。
しかし建築として十分に長期に耐えられる建築を作ることはまったく可能。
事実、日本で使われたプレハブの応急仮設住宅が
いったん「廃棄」されたあと、海外に持っていって再活用されたりしている。
むしろその耐久性の高さが大きく評価されたりもしているという。
法の厳密な施行による不合理がある意味まかり通って
国費がムダに浪費されている現実がある。
そうした浪費を前提としたプレハブ仮設に対して、木造仮設は、
その住みごこちや肌合いなどで、より長期的な利用にも耐えうるし、
便法として「払い下げ」という手法も活用すれば、
総体として税の無駄遣いを抑制することも可能な側面がある。
そういった「前進」が東日本大震災では見られたのです。
現実にいまでも仮設住宅に住み続けている被災者は多いし、
木造仮設については、事実上「災害公営住宅」として機能している。
ただし法の壁で、基礎は依然として木杭による「仮設」的建築とされてきた。
しかし今回の熊本震災では、初期段階から発注者である県の側でも、
こうしたムダ排除の認識を持って、政府に対してより長期的存続に耐えうる
RC基礎を要望し、また政府側でもそれを積極的に許容した。
要望にあたって、今次熊本震災が長期にわたって連続的地震が継続したことが
不幸中の幸いとして機能し、それに対しての常識的対応として
RC基礎の頑丈性が被災者の命を守る名分として立ったことが大きかったという。
今回は仮設総数4,303戸中で、このように建てられた木造応急仮設が、
実に683戸を占めるに至ったということ。約15.8%。

いま出来上がった木造応急仮設住宅は、
なおさらに「バリアフリー仕様」までも実現されている。
車椅子での利用などでの面積的ゆとりも実現されていると同時に
温度のバリアフリーとして、従来とは様変わりした断熱気密化も実現されている。
災害が起こることは自然災害大国ニッポンではやむを得ない現実。
それに対しての「備え」として、こと住宅については
社会は確実に前進を見せているのだなと喜ばしい思いを持ちました。
不幸に対してより前向きに対応していくことは可能だと思います。

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