さてきのうは既報のように、断熱手法について
北海道科学大学教授・福島明先生が投じられた一石、
「直接外張り」改修についてのオープンセミナーが開催されました。
折から国交省が既存住宅へのリフォーム促進政策という後押しがあり、
また金融支援機構さんからは、フラット35リノベという追い風も吹いている
断熱リノベですが、その手法について論議が期待されていた。
そんななかで、福島氏の取り組みには全国的にも大きな関心が寄せられた。
なんと全国から80名超という参加者。
南は京都工芸繊維大学の芝池英樹先生まで参加されました。
東京からも建築知識ビルダーズの木藤編集長も取材に。
冬の北海道ですが、断熱のおかげで大賑わいであります(笑)。
ということで、開始早々から福島先生から、直接外張りについての
趣旨説明〜工事手順の開示が行われていました。
断熱リフォームはコストを掛けちゃいけない、という考え方の手法です。
ただし、当然ですが既存の建物がどうであるかが
一番のポイント。その見極めがプロとして必須。
幸い北海道には、そういった経験値の高いプロが豊富に積層している。
この対象建物は大手ハウスメーカーの中では高性能住宅でよく知られた
物件です。構造も2×6工法で通気層工法も施工されている。
そういう基本条件から、今回の断熱材の直接外張りがされた。
工事としては、既存の通気層を上端で閉鎖し下端は開放する。
その上で板状のプラスチック系断熱材を60mm付加断熱し、
それを軽量なプラスチック系外装サイディングで被覆するというもの。
瓦の留めつけに使用する120mm程度のビスで
既存外壁に対して直接外張り断熱としていくもの。
2×6工法の構造合板に対して揉み込んでいくので、
在来工法の間柱・柱への揉み込みよりもずっと簡便だったということ。
このビスのアタマには余計なものが付いていたので、いちいち外して
施工したと種明かしもされていました。
既存外壁もあんまり平滑とは言えず、調整もしたという報告。
「え〜。通気層止めちゃうんですか?」という会場からの声。
そういう疑問に対して、もと北総研副所長である福島先生の方から、
そもそも通気層は万が一の室内側からの湿気排出が目的で、
それもその水分量はごくわずかで、どこかで開放箇所があれば、
目的には十分合致するとされていました。
また気密層の位置・認識についての質問やり取りも。
で、こうした工事についてのコストは小住宅ということもあって、
250万円ほどとされていました。
すでに断熱の工法が固まって以降建築の住宅も多数あり、
それらも改修の必要性が出てきているなかで、
まさに業界に一石を投じる事例だと思われました。
その後、今度は建築家・山本亜耕さんが取り組んだ
それこそ既存住宅を解体して抜本的に改修した事例紹介があり、
福島先生と山本さんの対論へと進展していきました。
この対論・対話は、時間を忘れて参加者も巻き込んで懇親会などでも
延々とトークバトルが展開されていました(笑)。
今後とも、この断熱手法論議、ウオッチしていきたいと思います。
Posted on 12月 9th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備
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