上の図表は、平成25年6月の国交省:中古住宅流通促進・活用に関する研究会
での(参考資料)から抜粋したものです。
国の考え方、危機感の所在を想定するのにはいい資料だと思われます。
地価の右肩上がりの上昇が見込めない中、住宅の建物部分が
20年で一律に減価する形では、中高年層の住み替え資金が確保できないが、
建物評価の改善と中古住宅流通促進により、ライフサイクルの中で
住み替え・生活資金を確保(しなければならない)。
戦後バブル期までの「住宅施策」では、
地価の上昇が激しかったので、結果として住宅取得者は経済的に
安定した老後を過ごす資産背景を取得することが出来たけれど、
現状では大きくは地価上昇は見込まれず、逆に地方では地価下落も激しい。
そういうなかで、ニッポン人の住宅資産はアメリカと比べて
対投資金額でみると、残存価値がアメリカではほぼ投資金額並であるのに、
日本では投資金額の半分以下になってしまっている。
戦後日本人の住宅投資は500兆円がアワと消えてしまっている。
アメリカというよりも欧米先進国の常識では、
家に投資してそれが減価するということは、常識的ではない。
ゴーストタウン化している投資目的の中国ですら、
世界の常識に添って、まだ本格的な価値下落はない。
なぜ日本の住宅投資は、こういう現状であるのか?
それは財務省の定めている減価償却の考え方を根拠に金融の世界で
(木造)住宅の価値は20年程度でゼロに(する)という査定が常識化している。
ユーザー側としてはそれが当たり前かと諦めていたら、
欧米ではその「税法的」減価償却の考え方とは違うモノサシで
実は、手が加えられ風格が加わった住宅の価値をこそ最大評価している。
住宅への評価軸がきちんと考えられ、それが社会に根付いている。
一方、護送船団方式で、財務省の方針を金科玉条にする金融機関が
住宅市場構造を基本的に規定してきた、
こうした日本社会の「市場の失敗」を、どう政策的に解決するか、
いま、国・国交省は施策を巡らせ始めているということのようなのです。
ユーザー視点で見て、現状のこういう市場のいびつさには
やはり大きな「国富の損失」を見る思いがしています。
なによりも国民の将来不安の根源にあることではないでしょうか?
こういう国民の資産保護についてこそ、政治は大いに論じ合って欲しい。
スキャンダル追求よりもはるかに本質的な問題でしょう。
野党側はもうちょっと経済の現実に目を覚まして欲しい。日本は不幸だと思う。
Posted on 8月 4th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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