さて、きのうのブログで触れた
国交省による総数2,000人調査データから、その②です。
「どうしてその住宅(建築)を選択したのか?」という質問への答です。
回答の多い順に並べて、なおマーケティング的に有為な回答に絞ると
1 信頼できるメーカーだったから 44.4%
4 立地環境が良かったから 34.9%
5 デザイン・広さ・設備がいい 34.4%
8 価格が適切だったから 19.0%
っていうように絞られるだろう、ということでした。
日本は、諸外国と比較して「注文戸建て」住宅の割合が非常に高い。
アメリカやカナダ、北欧、さらに直近では韓国などにも行って視察してきますが、
どこの国でも普通は「建売住宅」というのが基本であって
ユーザーはいろいろな価値判断基準で「購入」すればいい。
言い換えれば、プロがさまざまな市場競争の中で性能もデザインも
コントロールされた住宅を提供することが住文化基盤になっている。
そういった住宅市場構造が出来ているのに対して、
日本では、そもそも最初からユーザーに選択が強制されている。
基本が建売であれば、さまざまな工法やデザイン、性能要件は
住宅の事業者側で、「どうすれば売れるか」と判断して市場に住宅が出回る。
いわば製造者責任が、比較的に明瞭でわかりやすい。
一方で日本では、なにもない土地だけの段階から、
あるいは土地探しまで含めて、「会社選び」をはじめなければならない。
注文戸建て偏重のマーケット構造が生み出したユニークな住宅生産システム。
そういう市場構造の中で、まずは「住宅会社」選びがスタートに存在する。
建売ならば、たぶん、そのモノとしての価値選択が優先するけれど、
注文戸建てでは、会社選択が優先するのが現実ですね。
結果、「信頼できる会社」選択が最大ポイントになる。
しかしなんか、ヘンですよね(笑)。
この産業構造が、大手ハウスメーカーという存在の存立基盤。
この「信頼できる会社」という価値判断基準として、
企業としての規模というようなものが成立するのは、まぁごく自然。
戦後社会の商品経済市場の中では、いわば
大きいことはいいことだ、的な価値判断もあり得たし、
今でもそういう傾向は根強く存在し続けてきていると言えるでしょう。
しかし、この市場形成のなかでユーザー主権が埋没し続けてきたのは現実。
住宅の価値感が事実上、会社の大小で決まるというようなことは
やはり明らかに異常なかたちであると、社会全体が気付きはじめた。
さらに経済の寡占化の進展、首都集中、地方の衰退にもつながった。
地方で住む人間が、その貴重な消費マネーを首都に献上するのは愚かしい。
市場合理性だけがマンモスのように大きくなった一方で
しかし徐々にではあれ、その内容、中身の問題に目が向いてきている。
成熟市場というか、価値感の「多様化」というようなことだけれど、
ユーザーはより本質的な選択を志向しはじめてきている。
恐竜はやがて死滅し、すばしこい哺乳類が繁茂すべきなのだと。
この「信頼できる会社」というユーザーの選択項目に対して
どのように応えていくべきなのか、
まさに主体的な価値提案をもって、応えていく必要があるのだと思います。
当社が住宅雑誌Replanを創刊した、最大のポイントでもあります。
Posted on 4月 27th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: リプラン&事業
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