北海道では、いわゆる「伝統木造工法」で建てられた建物というのは
皆無に等しい、という序のお話しのセミナーに行ってきました。
NPO法人の「北の民家の会」が主催したセミナーで
いわゆる「構法」について、実験なども交えた開示がありました。
日本の建築基準では、っていうか、
建築の学者さんたちは、伝統的な木造構造について
まったく基本的な学習・実験を行っていないようで
その蓄積もなく、どうも横道的なところで金物補強を金科玉条としている感があります。
先日大きな話題になった、長期憂慮住宅3階建て実大耐震実験で
日本をリードする学者先生たちが「これでないとダメだ」と言っていた
建物が、震度6程度の実験でみごとに倒壊して
むしろ、地震力を逃がすように設計していた伝統的木造に近いほうが
部分的崩壊にとどまっていたというのは記憶に新しいところです。
どうも、日本のいまの状況をそのまま表している感じがいたします。
建築の世界で言えば、
姉歯による構造偽装問題を契機として、
その「建築確認申請」の犯罪的通り抜けを許した建築行政側を免責することに
血道を上げて、ひたすら行政的事務手続きを煩雑化させて
できるだけ、民間に責任を転嫁して、負担を強いる、
っていうような構図がずっと続いているのが現状です。
そういうことが行政発の建築不況を現実化させているのですが、
今回の耐震実験結果についても、行政の免責は真っ先に優先されるのではないかと思われます。
そして、そういう行政に対してお墨付きを与え続けてきた大学などの
「有識者」という存在のありようも、大問題なのではないかと思うのです。
もっとも身近な例で言えば、小泉政権での竹中大臣の問題。
政府系金融機関を次々と民営化させながら、
その一方で「民営だけど、管轄からいえば国営」というような
商工中金のような存在まで生んでしまっている。
端的に言えば、野放図な官僚機構の「焼け太り」ばかりが目に付く。
民営化はしたけれど、民間金融機関がいま、貸しはがしなどしたら
例の亀井大臣主導の法律で厳しく監視されるのに、
こういう存在はアンタッチャブルになっている。
どれだけ貸しはがしをしようが、金融庁の指導監督が及ばないのだそうです。
まぁ、言ってみれば「官」のモラルハザードと機能不全だけを残したのが
かれ、竹中がやってきた「構造改革」の果実だと思うのです。
それは結果的にはアメリカへの資金流失ということだったのかも知れません。
大きく話がそれました(笑)。
写真は、伝統木造の引っ張り強度実験の様子です。
実験では、国が推奨する工法モデルは17kgの力で破断していましたが、
そのほかの伝統工法では、普通50kg以上の耐力を示していました。
極端に言えば、勉強はできなくても(失礼)現実を知っている存在が認められず、
現実を知らなくても口先で説明が上手な存在が優先されているのが、
いまの日本の現状なのかも知れません。
そんなのは、絶対に間違っている!
追伸
文中、「長期優良住宅」と表記すべきところを、「長期憂慮住宅」と誤記してしまいました。
が、これはこれで素晴らしい表現だと思いますので、
あえて訂正はしないことにしました(笑)。どうぞよろしく。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
Posted on 12月 22nd, 2009 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備
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