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女川 2016冬・新たな「街並み」景観

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きのうはJIA東北支部・宮城地域会主催の
「復興建築ツアー」に参加しました。
2日間の日程で、宮城県地域の現在状況をウォッチするツアーです。
JIAのメンバーは、国や地域の自治体のスタンスとも違って、
地域住民の目線で、いまの復興状況に関わっているので
適度に客観的であり全体状況は比較的に把握しやすい。
そんな思いで参加してきた次第であります。

きのうは仙台駅を出発して、石巻、女川、北上の3箇所を見学。
宮城県北部地域の現状視察で、きょうは南部の平野地帯という日程です。
総勢50名超の参加と言うことで、バスでの移動。
東日本大震災の被災はまことに広大な地域に一気に押し寄せた危難だったので、
5年を経たいまでも、その全体像を一気に把握することはむずかしい。
きのう1日、バスで見学できた地域はわずかに3箇所。
それもバスで駆け足で巡るのですから、
やはり気の遠くなるような被災であり、復興プロセスも長く時間がかかる。
「復興建築ツアー」なので、そういったなかでも象徴的に
建築プロセスが明瞭になって来たのが女川の「新市街地地域」。
広大な全的津波被災地域に、仙石線の最終駅舎が建設され、
その施設には2階に公営温泉施設「ゆぽっぽ」も併設されています。
そこから海岸に向かって「プロムナード」がまっすぐに伸びて、
その遊歩道に沿って、あらたなテナント型商店街「シーパルピア女川」が展開し、
その中心的施設として「女川町まちなか交流館」などが配置されている。

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計画図などは上の写真のようなもので、
まずは、中核的なあらたな「街」の姿が見えてきた状況です。
はじめて目にすると、まるで横浜の海岸地域の倉庫街を
ちょっと想像させられるような景観が展開しています。
ゆったりとした道幅の遊歩道は煉瓦が敷き込まれた道風の仕上げで、
均整の取れた三角屋根のヒューマンスケール感もあって、
やさしい雰囲気が意図されているように感じられました。
悪くはないデザインの街が突序のように出現したといったところですが、
そういったものに息吹を吹き込んでいくのは、やはり街の人たち。

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女川で獲れるさんまを模したパンが売られていたので、
どんなものかと食してみた。
ほのかにさんまの風合いが感じられていました。
これから仙石線最終駅として、多くの人々をこの街に惹き付けていくのは
こういった地道な努力の積み重ねになっていくのでしょう。
多くの問題も山積していますが、日本社会の中で
他のどこでもない女川の「らしさ」を新たに創り出していくことが
すこしずつ始まろうとしていました。

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それにしても、写真にある高台の医療施設から、
全的潰滅状況を見ていたころをはるかに思い出していました。
時間がかかりつつも、あたらしいことは、やがて起こっていくし、
起こしていかなければならないのだと、
明るいような,切ないような、そんな不思議な気分に浸っておりました。

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