先日、カミさんの母親と話をしていて気付いたこと。
「最近、新聞を見ていても、どうしてこういうことが起きているのか、
さっぱりわからないんだよね」と端的に言われました。
で、わたしなりのお話しをしてあげたら、
目を丸くしながら、知的興奮を憶えてくれていたようでした。
どんな話をしたかというと、
インターネット時代になって、
既存の日本の新聞メディアは危機に瀕している。
これまでは、情報について読者をリードする独占状況があったけれど、
インターネット時代になって、その独占が崩れ、
読者は幅広い情報を得られるようになった。
もちろんそれは、玉石混淆というよりも、石が圧倒的に多いのだけれど、
ユーザーが自分で情報を取捨選択することを憶えるまでの
試行錯誤期間と考えればいい、というようなことです。
混乱期は一定程度続くにしても、
やがて、理性的に人間は進化していくものだろうと考えます。
とくに日本の新聞メディアは、
インターネット時代になって、それまではそれほど強調していなかった
「主義主張」のようなものを前面に出すようになった。
影に隠れてミスリードするよりは、ずっとマシだとは思うけれど、
論拠の薄弱な主張は、「こうあるべきだ」のプロパガンダになっている。
朝日新聞の直近の世論調査ですら、安倍政権の支持率の方が上昇し、
不支持率を上回っているという結果報道があった。
朝日はあれだけ明瞭な安保法制反対姿勢をあらわに
次から次へと金切り声を上げていたけれど、
読者は安保法制成立1カ月ですっかり常識を取り戻している。
さて非常識だったのはだれだったか、ということが明瞭になっている。
このような「報道姿勢」は、大きな新聞離れを促進させるのではないか。
インターネット時代になって、わたしは、
経済系の新聞のWEBサイトをよく見るようになった。
日本では日経で、海外ではWall Street Journalの日本語サイト。
やはり命から2番目に大切なお金の話を扱う経済系新聞は、
徹底的な「リアリズム」を常に意識した情報が得られる。
冒頭の義母の話からすれば、
「どうしてこうなるのか」という疑問や知的欲求に対して、
経済的な合理性が一番有効な物差しを提供してくれるのだと思う。
日経の記者さんで2014年のボーン・上田賞という
日本版ピューリッツァー賞を受賞した中澤克二さんの本を読んでいる。
「習近平の権力闘争」という本で、Amazonnの宣伝文句では・・・
「これは新たな「文化大革命」か。「反腐敗」で政敵を次々に
摘発、放逐、中華帝国再興の野望を追いながら、
暗殺の恐怖に脅え、側近は「友達」で固める……。
中国最高指導者の知られざる実像と、共産党内部の暗闘に、
ボーン・上田賞記者が緻密な取材で鋭く迫る本格ルポ。
激動の中国情勢を理解するために必読の一冊! 」<以上、引用>
というもので、まだ読んでいる最中ですが、
中国という難しい情報統制の中からでの情報収集ではあっても、
丹念に情報機関の発する小さなサインも逃さずチェックすることで
まことに生き生きとした現代中国の権力闘争を伝えてくれています。
まことに凡百の事実報道だけでは、得られない情報がわかる。
知的な探究心がよくわかる報道者の姿勢だと思います。
こういった出版情報も、インターネットによってもたらされてくる。
結局は情報リテラシーの問題になるのだろうけれど、
これまでのただただ受け身的な情報摂取姿勢ではなく、
自分自身も情報をふるいにかけるという姿勢が求められている。
経済というリアリズムから、現代をつかむのが正道ではないでしょうか?
<写真と本文は無関係〜あえていえば習近平似?>
Posted on 10月 23rd, 2015 by 三木 奎吾
Filed under: 日本社会・文化研究
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