今回の旅では、神楽坂の「LAKAGU」に期待していました。
隈研吾さんは、北海道大樹町の「メム・メドウス」を見学した体験があり、
そこでは寒冷地を意識したユニークな建築デザインが実験されていて
たいへん好感を抱いておりました。
アイヌチセを設計モチーフにして、床面をコンクリート蓄熱体にして、
テント建築だけれど、2重構造にして断熱し空気層も確保させていた。
ひとが住むという原初的な姿を見せてくれていて
非居住ではあるけれど、「建築を通してなにかを感じる」
という意味合いでは、伝わってくるものを感じた次第です。
いわゆる「デザイン至上主義」的な意味不明さは感じられなかった。
ということで、今回のツアーで
東京都内・神楽坂に新潮社の「倉庫」建築を再利用して、
サザビーリーグが運営する商業施設というふれこみの
「LAKAGU」が建設されたので、見学したいと思った次第なのです。
神楽坂は、知人の南雄三さんがスケッチ展をするので、
何度か訪問したこともあり、あの街の雰囲気のなかで
隈研吾建築がどのように現れるものか、
非常に興味を抱かせられた次第です。
かれはこの街で住んでもいるのだそうです。
隈研吾さんの建築は、わたしとしては
実用的な建築と言うよりも、むしろディレッタントとして見るのですが、
商業建築、それも運営するサザビーリーグが主導権を握っているようなので、
そういう意味合いでも、興味深かった。
現地を訪れた日は、雨模様でやや残念な雰囲気。
神楽坂のメーン道路に対して、いまは駐車場になっている場所が
どうも旧新潮社社屋跡地のようです。
その裏手、やや小高い土地にLAKAGUは建っています。
外観写真は事前に確認していましたが、
もと書籍倉庫の再利用と言うことで、基本的には目を奪うようではない。
建物のフォルムはごく一般的なもの。
ただ、表層には木が張られ、小高い敷地に沿って
木製階段が敷き詰められている。
写真でしか見ていないけれど、スターバックスの木組みデザインを
彷彿とさせるデザイン仕上げだと思います。
内部もボリュームはごく控えめなもので、
1階にはサザビーの小物類のコンセプトショップとビュッフェショップ。
2階にも家具のコンセプトショップとイベントスペース。
内装は、たぶん鉄骨の構造がそのまま表されて、
木毛板の内壁に白くペイントされた簡易な仕上げの空間です。
感想としては、その置かれている環境に大きな違いがあって
北海道大樹町と、東京神楽坂という差異が
落差として、強くこころに残りました。
東京神楽坂の醸し出す日常性は、なかなかに手強い。
手法としての書籍倉庫再利用という表現手段は、
この日常性に対して、強いメッセージ性は
刻印しにくかったのかも知れません。
また、他の建築も体験してみたいと思った次第です。
Posted on 1月 3rd, 2015 by 三木 奎吾
Filed under: 「都市の快適」研究
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