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関東建築探訪・JR日立駅〜妹島和世

2017-2

さて年末の家族旅行ですが、
わたしがおおむね計画しているので、何カ所か、
面白そうな建築を家族に強制して見て参りました。
餅つきに行ったいわき・中之作の古民家・清航館からして
建築の味わいを感じさせてくれてすばらしかったのですが、
次に建築探訪で向かったのは
このJR日立駅であります。設計監修は妹島和世(せじま かずよ)さん。
妹島さんと、西沢立衛さんのデュオの設計チーム・SANAAは、
建築の熱環境的には疑問に感じる、いわば対極的な存在なのですが、
しかし、その場に行って空間を感じると
これはこれでありか、とも思ってしまう存在です。
西沢立衛さんの十和田美術館、SANAAとしての金沢21世紀美術館と
見てきて、やはりこういう21世紀的なガラス建築の美というものも
存在感を持って迫ってくるものがあります。
今回の旅行ルート上でいい建物と思って探して
いちばん浮かんできた建築がこの日立駅駅舎だったのです。
そう、「浮かんで」きたのであります(笑)。

2017

この建物は、海岸線からやや高台に位置する日立駅の位置を
さらに強調するように、海側の高い位置に潮見台のように
差し掛けるように設計デザインされている。
写真上は、この駅舎を海から眺望できるように海中に通るように配された
海の中道のような道路上から見たアングル。
海から見るとまるで、ぽっかりと行灯が「浮かんで」いるかのように見える建築。
デザインの意図がくっきりと明瞭で、
その目的に向かって一直線に一筆書きしたような素直さが感じられる。

2017-3

その建築が置かれる環境条件の中で、いちばんいい「環境」に一途に
向かっていく、という感覚があって、清々しさは感じる。
しかし、熱環境的サスティナビリティから考えると
この建物、維持していくのに暖冷房のコストはいくらかかりますか?
という疑問は大きく感じる。
まるで、ダイエットブームのさなかに大盛り・ドカ盛り・メガ盛りという
メニューが一方で人気になるという心理を反映しているかのようです。
しかし、こういう建築であってしかも極小の維持エネルギーにする
そういった方向性で、進歩発展というものは進んでいくのかも知れない。
こういう建築に出会うと、いつもそんなふうに、思う次第です。

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