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薪風呂

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きのう紹介した余市・福原漁場主屋の風呂の様子。
これは室内にこしらえられた主人とその家族用の造作風呂。
造作は明治年代のものだと思われます。
薪のストーブ状の装置に対して、
鋳物の蓄熱層があって、それが浴槽の水を加熱するという仕組み。
高温になる鋳物表面が浴槽側から肌に触れないように
板の仕切りで、区分けされています。
湯加減を見ながら、薪を調整していったのでしょう。
薪ストーブ的な部分には表面に鉄板が張られていますから、
けっこうな造作品だと思われます。
また、鉄板で煙突も出しているのでかなり本格的な作り。
なんですが、冬の期間のことを考えたら、ぞっとする風呂。
気密は取れていない建物ですから
室内で直接、火をたけばその分の燃焼に必要な空気は入り込んでくる。
ようするに隙間風は相当に入り込んできてしまう。
たしかに湯の中で体は温まるけれど、
容易に浴槽外でからだを洗うことはできなかったでしょう(笑)。
なんといっても真冬には当然零下20度くらいの世界。
たぶん、日のある日中に使用したのではないかと思います。
それ以外の時間に、っていうか、冬の夜にはちょっと難しかったでしょう。
まぁ、わたしなんかの世代でも、冬に室内の風呂に入るときは
気合いを入れて、手短かに体を洗っていた記憶を持っています。
春から秋にかけての時期にこの建物には
多くの出稼ぎ人たちがいましたが、
彼ら用には、主屋から離れた屋外の小川のたもとに
五右衛門風呂を置いて、使わせていたという説明でした。
冬期間はかれらはここにはいないわけですから、
冬の風呂というのは考えなくてもいい。
まぁ、子どもの学校のこともあるでしょうから、
主人家族はここで冬も生活していたのでしょう。
さて、冬場にはどんな入浴であったのか、想像するしかありませんね。
冬のことを考えたら室内で風呂を使いたいけれど、
そうするといろいろな問題が出てくる。
幼い頃のわが家でも、室内に据えて炊きあげた五右衛門風呂が、
翌朝になったら、湯が氷になっていた、というのは日常茶飯な風景。
そのうえ、結露が酷く集中するのは理の当然なので、
風呂まわりの木材は、ほぼ間違いなく腐ってしまう・・・。
そんなことから、北海道では「地元」のユニットバスメーカーというのが繁盛したのです。
そういういろいろな思いが交錯する写真です。
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