先日の旭川出張で見かけた民家屋根上の煙突。
ブロックを積み上げて作った「集合煙突」だと思われるのですが、
なんともユーモラスにというか、「残念」と言ってその場に倒れた感たっぷりというか、
でありました。
明治期から北海道ではそれまで日本家屋にはなかった
「ストーブ暖房」という装置が導入されてきた。
放って置いたら、断熱の概念のない時代に室温が零下20℃にもなる旭川。
生活の主居室にはストーブ暖房が欠かせず、
複数の居室に暖房を配置するために、煙突を集合させて
家中で熱源を燃やした排気を外に排出していたのです。
その集合煙突が、なぜこのように倒壊したのか、
想像ですが、
雪などの水分が煙突の構成成分、コンクリートブロックに染みこんでいき、
たぶん、冬期や雪解け時期の朝晩と昼間の寒暖温度差によって
「凍結・爆裂」を繰り返すうちに「ひび割れ」を引き起こして
そこに屋根雪が積層し、しかもそこでも結氷、融解を繰り返すうちに
雪解け時期に屋根面を滑り落ちる雪といっしょの力が加えられて
このような倒壊に至ったのではないかと。
なんですが、
こうした風景を見ていて、
北海道でも、こういった集合煙突というようなものを
たとえば、ウチの息子などはまったく理解出来ないだろうと思った次第。
たかだか数十年の単位で、めまぐるしいエネルギーの変遷の中で、
薪から始まって、石炭になり、石油製品に推移して、
いまは、ヒートポンプ技術にまで様変わりしてきている。
人間の経験や常識の方が追いついていけなくなっている。
ほんの数十年前には当たり前だったことが、
あっという間に陳腐化していってしまう。
そんだけこっちも歳を取ってきたということでしょうが(笑)
まことに諸行無常を、平家物語のように感じてしまったのです。
琵琶法師に語られることもなく
倒れても見向きもされずに放置プレーされている集合煙突。
ペーソスを感じて、写真に納めざるを得ませんでした。
まことにお疲れさんでした。
Posted on 10月 30th, 2013 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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