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「黄金国家」を読む

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なにげなく、「東アジアと平安日本」というサブタイトルに惹かれて
保立道久さんという方の本を読み続けております。
もうかれこれ、1カ月以上はかかっているのですが、
全328Pに対して、ようやく277Pまで読み進めた次第。
まぁ、頭が混乱してくるくらい、天皇の名前が変わっていく。
そして、天皇の即位の経緯が、それ自体大きな政治領域であることと、
同時に社会が抱えたいろいろな問題が概観されていく。
まぁ、今日の政治の流れを書き続けていく作業にも似ていて
その連鎖の永遠なることに言葉にならない辛さも感じるわけですが、
不思議と面白く読み進めている。
ただし、まったく記憶には残りにくい(笑)。
中世史研究者の学問的興味に基づいて、同様の研究者の概説と批判などが
歴史進行と合わせて語られていくので、
まぁたぶん、一般読者というのはあまり考慮されていないように感じる。
おかげさまで、夜の寝付きのための睡眠薬としては
超絶の効果を発揮してくれていまして(笑)、
3分間とは持たず、爆睡モードになる。
まぁ、こういう書き方は筆者に対して失礼ですね。反省。
しかし、退屈を通り過ぎてくるとそこに書かれていることに
驚きと共に、新鮮な歴史像が浮かんできて、まことに耽溺させられる。

日本国家の政治プロセスと、
東アジア世界との関わり関係がメインの本なのですが、
「平安時代には唐からの文化影響が沈静化して、国風化が進んだ」
という常識的な理解が、いかに表層的なモノであるかが、
克明に語られていきます。
大陸・半島からの「フロンティア」的な位置づけから
この列島社会は構成されてきている様子が
時間軸と共に語られていきます。
ダイナミックな東アジア世界の激動と、連動するように日本の歴史過程も
相互作用を得ながら展開してきている。
これまで、単体的な動きと見られてきた平将門の反乱も
広く東アジア世界の胎動との関連で捉えられていて
想像力が非常に自由を得る思いが致しております。
やはり、奥州に産出した金は、その後のこの列島社会のありようを
大きく変えていったのは間違いがないようですね。
鉱物資源採掘による繁栄とその収束は
直近でも北海道各地の産炭地のことを考えてみれば、
おおよその想像力はつきますが、
それは巨大なシステムの起動力にはなるけれど、
資源が枯渇してしまうと、実にあやふやな記憶しか残さない。
そんな思いが強くなってきております。
歴史は本当に奥深いですね・・・。

<写真はまったく無関係の「青森イヌ」彫像>

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