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古い街並みのなかでー1

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先日の「東北住宅大賞」で候補作としてノミネートされた住宅。
大変興味を覚えたので、取材に訪れました。
というのは、東北の古い街並みのなかに、あえてそこでの暮らしを継続させようという、
建築家としての強いメッセージ性を感じたからなのです。
建築された街は、福島県の白河市。
古くから要衝の地として知られたこの街は、
であるだけに、古くからの城下町としての街割りがされています。
いわゆる「町家」としての土地割りになっています。
間口が狭く、奥行きが長いという典型的な日本の前近代的な街割り、都市計画。
前近代的な、と書きましたが、これは現代の側からの専横な物言いであるかも知れません。
正しく言えば、現代生活の快適装置、車社会から考えて、
それには適してはいない居住形態、歩いて暮らすのに適した街割り、
とでも言った方がいいかもしれません。
こうした街では、道路がそう広くはなく、また、しばしば戦争への備えから、
曲がりくねらされていて、不定形になっている。
そこに多くの居住を可能にするために、敷地利用は細長くなるのですね。
結果として、隣家同士が軒を接して建てられたり、
場合によっては壁を共有したりしている場合が多い。
現代生活では、車での移動への利便が保証されるような
そういう街割り計画が当たり前のようになっています。
間口は大きくなり、奥行きはそう必要とはされなくなった。
その分、交通に必要な前面道路の道幅は大きくなる必要があって、
そういうことを前提に考えていけば、アメリカの郊外住宅地のような
広大な敷地と、ゆったりとした前面道路、という都市計画が
もっとも、現代生活に適した街割りだ、ということになっていく。
このことは、どうも、わたしたち現代人のなかに、
ベーシックな部分で、いまや、刷り込まれたような前提条件になってきている気がします。
しかし、一方で、古くからの伝統であるとか、
地域らしさ、というような部分で、その土地らしい、そこに暮らすのに似合う、
というような価値観を考えるとき、
現実に存在するこうした街割りのなかでの暮らし方、
家の建てられようについて、しっかりした考え方は、
私たちはまだ、持っていないのではないかと思います。
この家の施主さんも、古くからあるこの敷地のなかの家の新築を考えたとき、
当然のように、引っ越しして新しい土地に住むと言うことを
まず、考えたんだそうなんですね・・・。
って、長くなりそうなので、この稿、明日に引き続きたいと思います。

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