既報の「自然木の《防火》外壁」について、そこそこの反響のようです。
北総研でもかなり広く反響があると聞いております。
即座に出てきた反応は「ツーバイフォー工法、枠組み工法でも可能に!」の声。
北海道ではこの工法の普及率が非常に高いので大いに期待したいところですが、
大臣認定審査には申請者側の費用負担問題があり、
その費用負担と予想される「市場規模」を重ね合わせると
「とりあえず在来工法での認定取得を」となる趨勢は避けられない。
北総研側としても、「大いに声を上げて市場を動かして欲しい」というスタンス。
基本的には付加断熱の標準的施工で使用する断熱材メーカー団体が
申請主体となって「壁構造工法認定」を取得する流れなので、
市場側、作り手側からの「声の大きさ」が成否を左右することになる。
で、この「自然木の《防火》外壁」というパラドックスとも思える「革新」、
わたしとしては、市場マーケティングの問題としても非常に興味深い。
というのは、人間の衣食住の社会発展は基本は自然由来ではあるけれど、
「進歩発展」は規格大量生産、工業化が「すじみち」であるという
近代・現代「文明」社会への刷り込みにも似た思いがある。
そういう「常識」からは、むしろ逆回転のような自然回帰型の「進歩」と思える。
防火性能という独自性を手にし、それこそワンイッシューで市場をほぼ独占した
「サイディング外壁材」という化学素材に対して、ルネッサンス的に
自然素材・木材が素手で反抗的に立ち向かう、という感覚を持ってしまう。
市場独占がサイディングに可能だったその「根拠」は
はたして本当に「防火性能」だけであったのか、
その「市場の結論」を再度、検証せねばならないというようにも思える。
ユーザーは合理的選択として自然木からサイディングに移行したのではないのか?
そうではなく建築の法的規制に素直に従っただけで、
「好み・嗜好」で選択したものではないと言えるのか、試される局面。
サイディングはその進化の過程で激烈な「競争」を経てきており、
その結果としての「市場独占」でユーザー「愛着」のようなモノがあるかどうか、
いわば住宅の「外壁市場」そのものが問い直されるのではないかと
そういった強い興味が湧き上がってきております。
建材価格的には、いまサイディングと自然木とで大きな価格差はないとされる。
建築側が「価格的に、どちらでも選べますよ」とユーザーに問いかけたとき、
はたしてユーザーはどのように選択するのか、興味深い。
「メンテナンスは?」
「長期的安定性は?」
「デザイン性は?」など、さまざまなマーケティング的条件変化が起こる。
どうも市場・マーケティング的な変化の方が深く根源的なのかも。
いま感じている「作り手側」の反応では「木外壁」に非常に肯定的だけれど、
はたしてどのように推移するのでしょうか?
Posted on 6月 21st, 2020 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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