昨日も紹介させていただいた早稲田大学の3人の教授による研究、
「新型コロナウイルス感染症制御における「換気」に関して」論文。
<リンクはWEB発表先。別ウィンドで開きます。>
そのなかで「顔面粘膜への飛沫付着量、飛沫付着数の分布」という
飛沫感染の解析実験データへの言及がありました。以下、要旨引用。
〜咳マシン(感染者)とサーマルマネキン(被感染者)を想定して
人工的な咳を発生させ飛沫付着量に関する実験を行った。
顔面粘膜には90cm離れれば非常に少なく、120cm離れればほぼゼロ。
口から30cm、90cm下の面での飛沫付着量は120cm離れるとほぼゼロ。
下ほど少なくなるのは、飛沫が蒸発して飛沫核になるため。
飛沫核は空気中に浮遊。相対湿度が低い場合は飛沫付着量が少なくなるが、
これは飛沫核として空気中に漂う量が多くなること(早大田辺研究室実験から)〜
疫病との戦いは、目に見えない極小の世界でのウィルスの動きを
科学的なメスを入れて可視化し、対応の防衛行動作戦を案出する営為。
そういう試行から得られるエビデンスが、人間社会を救済する。
この実験では30cmごとの感染者との距離検証で安全距離を解明した。
結果としてはおおむね90cmが「非常に少なく」なる隔絶距離だという。
この部分を読んで、先日紹介した「結核予防善悪鑑」を想起した。
まだ結核は「遺伝病」とする常識が支配的だった大正初年、106年前の発行。
当時ドイツ人研究者・ローベルトコッホが「結核菌」を発見した。
結核が感染症であり、生活の仕方で社会的に予防することで
人類を防衛することが可能だという公知を広く普及させることが
最大の感染対策になると解明された。そこで「結核予防善悪鑑」という
日本人に馴染みの深い「相撲番付」表現形式で、
「行動変容」を社会全体に促した事実が発掘されたのです。
その「結核予防善悪鑑」のなかに、写真左のようなくだりが表記されていた。
「悪いこと」として「差し向かい3尺以内の談話」が明示された。
寸法表現には106年の時差があって3尺と90cmだけれど、ほぼ同じ距離。
時間歴史を大きく隔てて、同様の結論に至ったことに感銘をうける。
もちろん結核菌と新型コロナという個体性質の違いはあるけれど、
人間の側の「対策」としては共通の「ソーシャルディスタンス」に至る。
この段階、106年前の段階ではまだ結核のワクチンであるBCGは発見されず、
人類は第1次世界大戦を挟んでようやくワクチンを得た。
逆に言うと、それまでの期間人類はこの行動変容対応で時間を稼いでいた。
今回の新型コロナもワクチン開発まではもう少し時間がかかるだろうし、
それまでの期間でも第2波、第3波が普通に想定される。
スペイン風邪でも感染拡大は、第2波以降が巨大だったとされる。
この公衆的な行動変容規範がわたしたち最大の防衛手段だと思います。
Posted on 6月 10th, 2020 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 状況・政治への発言
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