今回新型コロナ禍では、世界中の科学者が疫病解析に立ち向かっている。
主な感染経路は接触感染、飛沫感染とされているけれど、
換気の不十分な空間において空気中のウイルス濃度が高くなることがあり、
感染のリスクが生じる可能性が指摘され、3つの「密」(密閉・集密・密接)が
重なる場では同様のリスクが生じる可能性があると指摘されている。
そのような解析があって建築系科学者も「換気」の研究を通して
この感染症解析の戦いに参加している。
先般、住まいと環境 東北フォーラムから新たな情報発出がありました。
日本医師会 COVID-19有識者会議に対して
白井 克彦 元早稲田大学 総長
古谷 誠章 早稲田大学建築学科 教授
田辺 新一 早稲田大学建築学科 教授の3名の研究者による
「新型コロナウイルス感染症制御における「換気」に関して」論文が提起された。
<リンクはWEB発表先>日付は2020-05-21とされていました。
その論文中に興味深い研究の紹介がありました。
上の図は香港大学Yuguo Li教授グループ提供のもののクローズアップ。
「広州レストランの感染者と気流」論文での説明図です。以下論文要旨引用。
〜香港大学Yuguo Li教授グループによる広州レストランの感染の気流解析。
換気の悪い広州のレストランで感染クラスターが確認され公表されている。
中央部の赤い咳をしている感染者から赤い人たちがレストランで感染した。
1~2mは離れていたので、その咳が空調気流により室内に飛沫、飛沫核が拡散し
感染したと推測される。しかし同じレストランの遠くの人は空気感染していない。
3密の危険を示すものである。〜
換気ということがらは視覚化させることが非常に難しい。
論文では説明は上記部分だけなのですが、図示される部屋右上の機械は
「エアコン」と推測されます。換気機能は持たず熱交換された室内空気を
「循環」させる装置であると思われます。
このエアコンが複数台装置されているが、図右側の特定の個体エアコンが
果たしていただろう「空気循環」経路に沿って感染者が発生している。
色づけ表示の空気循環の室内部分以外では感染者が発生していない。
「換気」の悪い密閉空間での空気循環が、エアロゾル感染に結びついた。
色づけされた「空気循環」の解析表示には、
エアコンからの吹き出し空気がどのように室内で循環のふるまいを見せるか、
相当の研究が費やされたことでしょう。
このような研究の成果から、3密回避という行動指針が上梓されていった。
日本の専門家会議の新型コロナとの戦い方は主軸が「3密回避」。
世界の多くの国々では「テストテスト」とPCR検査と社会封鎖対応が主軸だったこととは
やや違いがあったと思われます。
これまでのところ、この戦略はある程度の成果を挙げてきているといえるのでしょう。
今後想定されている第2波、第3波の感染拡大と戦うのに、
世界の科学者のさらなる叡智が期待されるところだと思います。
Posted on 6月 9th, 2020 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 状況・政治への発言
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