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【新型肺炎「グローバリズム危機」と地産地消経済】

現代世界は国民国家がその基礎であることは間違いがない。
各国政府は自国民の生命・財産を保護することが基本的な使命であり、
そのために必要な範囲で国際的な協調を行い国連などの組織を利用する。
あくまでも国民国家が基本であって国際関係が上位ではない。

一方で現代世界では、経済はグローバル化し物流サプライチェーンは
価格合理性に基づいて先進国から主に中国を中心に移転してきた。
この国境を越えた経済的な結びつきは思想的にグローバリズムに結実した。
ヨーロッパは単一通貨で統合されEUという共同体が出現した。
2000年代初頭に比べ世界の航空機での往来は10倍規模に達しているとされる。
グローバリズムが世界を席巻し世界の生産工場は安い人件費を求め中国に流入した。
それは先進国での「空洞化」と同時に価格低下のデフレ基調を招いてきた。
製造業によって立脚していた先進国内地域経済は空洞化していった。
そういう「痛み」は先進国の国民負担に沈殿していった。
この世界の潮流に対して、まずはじめにイギリスがEU脱退を決め、
アメリカでも自国第一主義のトランプ政権が誕生した。
現代の基盤である国民国家の理念とは相容れないグローバリズムの暴風に対し
国民国家の発祥地ともいえるイギリス自身がノーを宣言し、
基軸国家アメリカも同様の流れになってきたといえるのだろう。
そしてグローバリズムが本当に有益であるのか大きな警告が発せられている。
今回の新型肺炎禍はその危機を浮き彫りにした。
資本主義の製造業プロセスのサプライチェーンに中国が深く介在しながら、
その国家体制は共産党独裁の異分子構造である危険性が露呈してきた。
さらに中国にお金が蓄積することでWHOのような国際機関まで
その影響力で変質させられ、国際秩序の脅威であることが明確化してきた。
今回の新型肺炎禍自体はやがて終息することを期待したいけれど、
この災禍はけっして拭い去ることが出来ない禍根を残す。
この国際危機から学んで行かなければならない。
トランプの対中政策は、やはり本質的に正しいと思わざるを得ない。

身近な製造業である住宅産業に於いて、基本的な生産活動の主体には
自立的な「地域工務店」も数多く存在し「地産地消」の役割の中心になっている。
大手ハウスメーカーとは言ってもその多くは下請けの工務店が現場を支えている。
そういう産業構造が基本だけれど、いまの新型肺炎禍で
多くの「建材」、加工組立が基本である衛生機器などの流通が危機にある。
地域工務店の主要な関与領域である木材流通などは問題が少ないけれど、
この加工組立製品が入荷しないことでボトルネックが生じてきている。
結果として工期に支障が生じ、資金循環においても停滞が生じてこざるを得ない。
しかも日本は消費税増税というきびしい消費減退期に突入もしている。
現代世界の突破口として「地産地消」の価値の再評価が必要ではないか。
グローバリズムの危険性に、地域の自立性向上が対抗軸になるのではないか。
全産業の中でも、住宅建設業ではまだ地域のパワーが残っている。
そういう存在がもっと輝いていくべきなのではないだろうか。

<写真は140年前わが家近辺「琴似屯田兵村」始原期の木材伐採〜開墾の様子>

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