マツダが「電気自動車(EV)自体は確かにCO2を出さないが、
発電時に排出されるCO2を含めてみるべきだ」という至極まっとうな
アピールをしていて、その声に賛同する動きが官民で出てきているという報道。
EVは「CO2排出ゼロではない」 風向きを変えたマツダの主張
っていうか、住宅建築の分野では「LCCO2」という考え方、具体的には
「<ライフサイクルCO2>の略で、建築物などの建設に伴って発生する
二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するために、建物寿命1年あたりの
CO2排出量を算出して評価する手法のこと。
手順は、まず、評価対象となる建築物の資材消費量や、建設時の物資輸送距離、
冷暖房や照明などのエネルギー消費量を算定する。」
っていう「揺りかごから墓場まで」の全ライフサイクル期間を対象に
CO2削減をみる考えが当然の大前提と思ってきた。
ところが、世界を引っ張っている自動車業界において、
そういった考え方ではなく、インフラの電気をどう作るのかについて
まともには論議されずに、いわば自分だけの論理でEV翼賛に陥っていた。
それに対してマツダさんが孤軍奮闘で異議を唱えてきていたという。
住宅建築の分野ではよくイメージで、太陽光発電で「戸建て持ち家」で
マイカーに充電してエネルギーを賄う、という刷り込みが行われてきた。
しかし、雨が続いて日照が十分でないとか、
寒冷地ではそもそも積雪条件で冬中発電できない条件下でのEV充電は
不可抗的に町場の充電スタンドが充電場所になることが自明。
たとえば日産リーフだと1kWhで約9km走行。
1回の充電で180km走行可能。100km走行で約11kWh消費。
お金のことは別にしても、電力需要はこのEV普及に伴って爆発的に増える。
初期コストが現状で太陽光発電は100万円単位で掛かるのを考慮するまでもなく
持ち家でもマンション居住者や、持ち家以外・賃貸住宅居住者などの大多数は
「町場の充電場所」が主力のエネルギー供給源になる。
その充電場所としてガソリンスタンドの業態転換が常識的に考えられるけれど、
この業界はいま、廃業が続出する業界でプレーヤーが激減している。
そういう論は別にしても、充電場所では潤沢な電力供給が
絶対不可欠な社会インフラとして提供されねばならない。
さてその膨大な新規需要の電力はどうやって生産するのか。
ご存知中国では、7割が石炭火力発電だとされ、経済成長に伴って
世界のCO2排出量が飛躍的に増えたことは疑いがないだろう。
日本でも原発アレルギー世論からCO2排出原料での発電にならざるを得ない。
どう考えても世界のCO2排出にとって危機を生み出すのではないか。
〜こういう当たり前の論議が起こってきたというのです。
たしかに自動車だけで考えればEVはひとつの流れではあるだろうけれど、
しかし目的の「CO2削減」から考えれば世界全体、人類社会的に
本当はどうであるのかは、十分に検討されてはいないのではないか。
どうも日本の省庁の「縦割り」弊害のようなことが世界で起こっている?
自動車産業の「自分だけいい人に見られたい」という近視眼志向が
過大な電力の設備投資を必然化させ、その発電のために
あらたなCO2増大が不可避になる近未来図がみえてくる。
結局エコロジーではなく「エゴロジー」と言われても仕方ないのではないか。
Posted on 2月 21st, 2020 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 状況・政治への発言
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