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【インテリアとしてのハンモック】


人間が「いごこちがいいなぁ」と感じるのには、
実にさまざまな要因、機縁があるだろうと思います。
たぶん現代に至るまでに、住宅というものが進化してきた最大の動機は
この「いごこち」をさまざまに探究してきた結果なのだろうと思う。
住宅雑誌を発行し住宅WEBサイトを運営していると、
必然的にこういった要素に対して感受性が高まっていく。
もちろん、多様なアプローチがあるのですが、
ときどき住まいの仕掛けとして住宅事例のなかで見掛けるのが
この「ハンモック」であります。

すぐ下に、お猿さんの「寝床」写真を載せておきました(笑)。
わたしの想像ですが、たぶんハンモックにいごこちの良さを感じる
その根源的な体感は、これくらいのDNA的記憶体験に根ざしているという妄想。
それにしてもこの写真のお猿さん(オランウータン?)はまことにいい表情。
木に揺られて寝る類人猿のDNA的やすらぎ。
夢を見るというのは、脳の相当の発達がなければ叶わない営為とされますが、
この寝顔からは、どうも楽しい夢を見ているようにしか見えない。
この「いごこち」を考えてみると、ハンモックのいごこちに通じている感じがする。
まぁ、あんまり論理的ではありません(笑)。
ロジカルには、ハンモックのもたらす「ゆらぎ」が、
自然の木の揺らぎにも通じているように思えるし、
自然の中で感じる空気の流動感が、ハンモックを揺することで
同様の体感効果を擬似的に感じられるのではないか。
それ以上に、自分の体重と支えてくれている木との相関的なゆらぎも、
あるやすらぎの根源の部分を感じさせているようにも思われる。

一方でインテリアとして考えると、このハンモックはなかなかあいまいなもの。
というのは、ハンモックは寝具の一種であって、
リビングルームに装置的にあるということに、やや違和感は起こる。
たとえ家族であっても、こういう無防備な寝ている瞬間を
見られ続けることには、双方でいごこちの悪さがあるのではないか。
リビングが寝室の延長になってしまうことの抵抗感といえる。
このリビングに来客があった場合を想定すれば、場違い感は否めない。
しかし一方で最近の「グランピング」というブームもある。
日常生活をもっとワイルドに楽しみたい、みたいな心理をそこに感じる。
そういう暮らしイメージからすると、このハンモックはその象徴かも。
あるお宅のリビングの光景から、思わぬ変化球を送られたような気分でした。

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