毎朝の散歩路で見続けているオオウバユリ。
わたしのボケで、季節の記憶がいい加減だったので、
ことしはなかなか見当たらないと書いたりしていましたが、
まったくの杞憂で、いまや札幌円山自然林の里山的な森の中で、
無数に咲き乱れ、まさに群舞のような姿を見せてくれている。
この花は、ご覧のような面白い咲き方を見せてくれます。
すっくと高く立ち上がって、その先端部でいろいろな方向に花を伸ばしていく。
その先でユリらしい花弁がおちょぼ口のように開くのです。
この花はその球根部に養分が蓄えられて、食用に供される。
北海道での先住のアイヌの人たちにはきわめて貴重なデンプン質を提供する植物。
かれらの命を支えてきたソウルフードと言ってもいい。
以下、Wikkipediaの記述から要旨。
〜トゥレプの名で食用にされ、アイヌ民族が用いる植物質の食品の中では
穀物以上に重要な位置を占めていた。
旧暦4月をアイヌ語で「モキウタ」(すこしばかりウバユリを掘る月)、
5月を「シキウタ」(本格的にウバユリを掘る月)と呼び、この時期に女性達は
サラニプ(編み袋)と掘り棒を手に山野を廻り、オオウバユリの球根を集める。
集まった球根から、以下の方法で澱粉を採集する。
1 球根から茎と髭根を切り落とした後、鱗片を一枚一枚はがし、きれいに水洗いする。
2 鱗片を大きな桶に入れ、斧の刃の峰を杵がわりにして粘りが出るまで搗き潰す。
その後で桶に水を大量に注ぎ、2日ほど放置する。
3 数日経てば桶の水面には細かい繊維や皮のクズが浮き、底に澱粉が沈殿する。
繊維クズは「オントゥレプ」を作るために取り分ける。桶の底に溜まった澱粉のうち、
半液体状の「二番粉」と粉状の「一番粉」を分離する。
これら2種類の澱粉は乾燥して保存するが、その前に水溶きした一番粉を
イタドリやヨブスマソウなど、空洞になっている草の茎のなかに流し込み、
灰の中で蒸し焼きにしてくずきり状にして食べたり、二番粉を団子に丸めて
蕗やホオノキの葉で包んで灰の中で焼き、筋子や獣脂を添えて食べたりする。
乾燥して保存された澱粉のうち、日常使用されるのは二番粉である。
団子に加工しサヨ(粥)に入れる。一番粉は贈答用や薬用で普段は口にできない。
一番粉を水に溶いたものは下痢止めの薬として飲まれていた。
なお一連の澱粉採集作業の間、「酒」と「色事」に関する会話はタブー。
澱粉が落ち着かなくなり、うまく沈殿しなくなるという。〜
季節の呼称にまでこの植物が関わっている、ということなどを知って
この花に特別の思い入れを持っている次第なのです。
札幌の円山公園自然林は、札幌都市計画のごく初期から
自然保護林として指定されてきた経緯があって、
原札幌の植生がほぼそのままで維持され続けてきたのでしょう。
ただ、市内中心部の「北大植物園」内ではあまり見掛けない。
「やや湿り気のある林内、林縁に自生する」という条件がこの地域で
格好に満たされていると言うことなのでしょう。
このような自然保護を継続させてきた昔人に深く感謝の思いを持ちます。
というような状況で、一斉に花弁が落ちていました。
6割ほどはこういった様子になっていて、
まことに「花の命は短くて・・・」を実感させてくれますね。
かれらオオウバユリにして見れば、これから種子を結実させるのであって、
ここからが種の存続にとっていちばんの頑張りどころなのでしょうが、
見ている側、人間は勝手に花の美だけを求める。
まことに因果な存在ですね、人間という種は・・・。
Posted on 7月 21st, 2017 by 三木 奎吾
Filed under: 「都市の快適」研究
コメントを投稿
「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」
You must be logged in to post a comment.