リノベという言葉は、なかなか定義が難しい。
リノベーションというコトバは「革新」というように理解されていて
どっちかというと、工業系的な進化という語感を感じる。
従来、住宅の改修を指すコトバとしては、リフォームが一般的だったけれど、
むしろ温暖地域で「まちづくりリノベ」というような使い方で
もっと幅広く社会的な広がりも感じさせる住まい〔方)の革新というような
そういった意味合いを「住宅リノベ」は持ってきている。
そのような温暖地域でのリノベについて、その作り手や施主さんの動向を
取材してみて、どちらかといえば建築社会学的な動きと感じた。
既存の建築に対して、その活用方法について
まったく異質なアプローチを試みて現代人の興味を向けさせている。
東大の松村秀一教授がよく、
「建築が廃棄されたり取り壊されるのは、その性能的要件からではなく、
社会的に利用価値がなくなっての場合が多い」と言われていましたが、
そこにどうも、この「リノベ」の核心的テーマはあるように思っています。
で、今回住宅金融支援機構では、フラット35リノベという金融商品を
実験的に打ち出している。
これはフラット35と比べても当初金利を0.6%引き下げるもので、
国策としても住宅の改修更新に対して、追い風を吹かせるもの。
そしてそのネーミングに於いて、「リノベ」がめでたく採用された(笑)。
若い世代のみなさんにとっては、既存住宅を購入し「リノベ」して
住み継ぐ方がむしろ有利だとされているのですね。
というような風が、温暖地域から吹いてきて、
多勢に無勢という感じで、北海道まで達してきて、
それではどうやったら、既存住宅を改修し根本的な意味でリノベできるか、
その手法開発が巡り巡ってきていると思われます。
無論、温暖地での住宅建築の「社会的価値再生」は大歓迎するところですが、
さりとて、寒くてもガマンして「こんなカッコよく暮らしている」みたいな
時代錯誤に引きこもるわけには行かない。
そこで「断熱リノベ」が大前提でしょう、というような返答が
きのうご案内した討論会セミナーの動きになっているのだと思います。
でも、北海道ではこれまでもすでに鎌田紀彦+北総研の研究成果として
住宅の下端、土台回りの外壁を剥がして、
土台の腐朽状況を確認して必要なら土台を入れ替えるなどの処置をし
既存の断熱材を活かして下端部分からの気流を留める
圧縮グラスウール充填による「リノベ」工法も地域として開発されている。
この工法では同時に耐震補強として必要な処理をして
その上から構造用合板でカバーリングを行っている。
今回さらに福島先生が、新たなチャレンジをはじめられた。
もっとローコストに出来る方法はないか、という志向性。
一方では、より根治的に改修する手法も探求されている。
今回のセミナーはそういった流れを踏まえてのものと思っています。
<写真は無関係の北欧住宅風景>
Posted on 11月 27th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備
コメントを投稿
「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」
You must be logged in to post a comment.