岩手県奥州市水沢での講演会の帰路、
同行の武部建設専務さんと、建築散歩して参りました。
正法寺の茅葺き屋根を見に行って、その後、
世界遺産申請している平泉にも足を伸ばしました。
でもそのあと、福島県に移動しなければならなかったのに、
っていう意味では、スケジュールは無謀に近かったですね(笑)。
でもまぁ、なかなか来られない武部さんのことも考えて
あえて、ハードスケジュールに。
「世界遺産になれるかどうか、みてやろう」みたいな意気込みが
武部さんから発せられていて、
わたしもつい引き込まれてしまっておりました。
わたしは何回か見に来ているので、どうしても好意的にしか見ることができませんが、
予断のない見方というのも重要ですよね。
なんですが、そういわれてみると、
ということで、わたしも気になる点がありましたですね。
写真は金色堂へのアプローチ画面です。
よく知られたアングルで、杉木立のなか、
たたずんでいる金色堂・覆堂の表情であります。
で、なかを見学してきたのですが、
わたしには、この覆堂がなんとも言えずさみしいものに感じられてなりませんでした。
なにがって、これってコンクリート製なんですよね。
中に収められた金色堂は、精巧な復元作業などで
平安期の工芸技術の素晴らしさ、末法思想の生々しさを今に伝える
そういう雰囲気を持っていると思います。
ところが、あまり考えていなかったのですが、
世界遺産の認可委員の立場になって考えてみると、
それを覆っている建物の方に目が行ってしまうなぁと感じた次第。
外観的には、雰囲気を壊さないようにしたものでしょうが、
木造の建築デザインをなぞるように柱や梁のような
「贋物」的な表層デザインが施されているのですね。
まぁ、単純に金色堂を保護するという機能であれば、そういうデザインの贋物さは
不必要であり、もっといえばまったくふさわしくないとも言えます。
金色堂のデザイン、そのありように敬意を持っていれば
このような安直なコンクリートデザインはありえないのではないか。
まぁ、この覆堂がたてられた時期は、そういう感覚はなく、
防御的な機能で考えた正直な結果だったのは無理からぬと思います。
しかし、ひとたび世界遺産申請をするのであれば、
こういう覆堂のありようや、中尊寺高台からみえる平泉遺跡跡地に
景観を破壊するように建設されたバイパスなど、
コンクリート建造物への無自覚な開発姿勢というものは、
世界遺産にふさわしいものかどうか、
評価員にけっしていい印象を与えられないのではないでしょうか。
どうもそのように見直してみている自分がおりました。
少なくとも覆堂、大型木造建築として再建できないものでしょうかね。
できれば、「東北らしさ」を表現する大建築コンペとして
やれないものか、と夢想が膨らんでおりました。
北のくらしデザインセンター
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Posted on 1月 26th, 2010 by replanmin
Filed under: 歴史探訪
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