最近、北海道ではいわゆる浴槽に浸かっての入浴習慣が減少傾向と言われます。
住宅を調査している北大の先生からもそういう声を聞く。
沖縄では以前から住宅に浴槽設置というのは少ないそうで、
暖かいから、汗を流すだけのシャワーで十分なのだと聞いていました。
その真意がよくわからなかったのですが、
どうやら、浴槽に入浴するのは発汗を促進させて汗を流すのが
本来の意味合いであって、気候条件が備わっていれば、
シャワー程度の湯量刺激でも発汗・カラダの洗浄には十分ということのようです。
その亜熱帯的な生活習慣が、本州地区を飛び越えて北海道に?
地球温暖化ということであれば、本州地区で変化が先なハズ、
と、やや唐突な気がしたのですが、
この情報に接してみてから、坊主の入浴習慣を思い起こし、
さもありなんと気付くようになって来ております。
かれはけっこうシャワー入浴で済ませていたことが多かった。
わが家は基本的に全館暖房であり、
生活空間では基本的に20度以上の室温は冬場でも保たれている。
そういう「亜熱帯」的な室内空間では浴槽入浴習慣も減っていく・・・。
欧米では、バスタブにお湯を張るよりも
汗を流すシャワーの方が一般的生活習慣に馴染んでいる。
浴槽入浴よりもシャワー入浴だけの方が、湯量ははるかに少なくて済む。
一方北海道では断熱の結果、暖房用エネルギー消費が少なくなっても
給湯によるエネルギー消費は一向に下がらなかった。
基本的に局所暖房が生活習慣である日本全体では、
給湯用エネルギーの方がエコ目標として重要とも言われる。
で、地域全体としての面的な断熱性能の向上が見られる北海道で
こういう入浴習慣の変化が広がりつつあるとすると、
どうやら、断熱が進んでいって、湯量消費も少なくて済むことに
なっていくのだろうかと、期待感が広がって参ります。
ご存知のように、日本の住宅が欧米と大きく違うのは浴室の作られよう。
人間生活のハコを作るのに、この入浴習慣の違いが
かなり決定的な違いをもたらせています。
戦前までは銭湯での入浴が一般的で、家風呂などは超贅沢であったのに、
いまや家風呂は当たり前になった。
家に重厚な浴槽+体洗いの浴室装置を入れるとなると、
その長期荷重、防水・水分コントロールのストレスなど、
簡便なシャワーブース、単体風呂などとは比較にならないほど重装備になる。
そういう結果、ユニットバスという工業化製品を生み出すにも至った。
写真は2階に作られたユニットバスの設置状況を下から見たもの。
建築構造との合理的な接合の工夫から、防水の入念さ、排水管の断熱処理、
防水と、設備と建築の取り合いなど、
作業工程も複雑になっていくことは避けられないのです。
欧米に住宅見学に行くと、工務店さんたちはシャワーブースを見て
「こんなアバウトな防水でいいんだ・・・」と驚愕する。
日本の住宅が割高になる要因の大きな部分が、この入浴習慣なのですね。
しかし当面は、習慣の変化にとどまって、
浴槽・浴室自体が不用になっていくかどうかまでは見通せないでしょうね。
しかしそうであっても、エネルギー事情には可変要因になり得る。
下からばかりではなく(笑)、
日本のお風呂の動向、注意深くウォッチしていきたいと思います。
Posted on 2月 20th, 2015 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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