本文へジャンプ

蔵の引き戸

6507.gif
写真は先日の秋田県での取材先でのもの。
建物は日本海を見晴らす高台、という立地を活かした
眺望重視の住宅。設計施工の五蔵舎さんらしい雰囲気のある建物。
で、平屋で、玄関から廊下を通って、正面にこの引き戸があったのです。
寝室の入り口に使われていました。
いや、ずいぶん凝った建具を作ったモノだなぁ、と感心していたら
建て主さんが、「あ、それはですね・・・」と
喜々として説明していただけたんですね。
まぁ、もちろん造作ではなかったんですよ。
だって、すごいんです。重さだって半端じゃなくて
上下でレールを持たせているので、そこそこ不自由なく動くんですが
まさに、どっしりとした重量感。
重さは、100kgくらいはありそうな感じ。
厚さも相当なモノで、10cmほどはありそう。
枠の作りもごっついし、面も、板と言うよりは柱に使うような材料で仕上げられています。
で、聞いてみたら、これ、解体された古民家にあった
蔵の引き戸だったのだそうです。
たしか、本州中部の方から送ってもらったそうですが、
なんと、こういうのがインターネットで流通しているのだそうですね。
知らなかった。
破格値、ってどころじゃなくって、値段はまぁ、どうでもいいや、
という程度の値段。それを宅配便で
「大きさを伝えたら、その計算だけで持ってきてくれた(笑)」
ということで、ほとんどタダみたいな運送費で送ってきたモノだそうです。
はぁ〜、上手にインターネットを利用しているものですね。
と、あっけにとられた次第です。
しかしまぁ、この引き戸、建物の中でひときわの存在感。
っていうか、この引き戸に合わせたインテリア空間ですね、完全に。
新築の住宅だけれど、渋くて、趣がたっぷりなわけです。
日本ではまだまだ、ピカピカの工業製品への信仰が強いのですが、
世界中、どこでも「オールドで重厚なもの」への価値観は共通。
探せば、こんなことがまだまだ実現できるでしょうね。
蔵の引き戸、って確かにいい目の付けどころだと思います。
こういうのって、作るのにたぶん相当、大枚なお金も
なにより、人手もかかっているものですから
時間が経ってくると、その価値観が高まってくるものだろうと思います。
間違っても、いまたくさん流通している工場出荷の建具なんか、
何年経っても、値が上がるなんてことはあり得ないはず。
「これは、財産ですね(笑)」
と、ほれぼれと立ち止まってしまった、重々しい引き戸でした。
でもね、宅配便屋のドライバーさん、本当にご苦労さま(笑)。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.