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土間という日本的空間

写真は、先日見た現場見学会のもの。
土間って、日本人が好きな空間ではないかと思うのですが、
現代住宅では、ほとんど採用されることのない空間。

土間は、農家住宅などで必須とされた空間ですが、
伝統的都市住宅でも、たとえば京都町家などでも
通路空間は土間が一般的に採用されています。
外的な内部空間であり、
農家では雨天時の作業空間として利用されていたと思います。
通常は靴を履いたまま過ごせる空間ですね。
欧米の住宅が室内でも靴を履いている、
というように彼我の違いを明示するものとされるケースがありますが、
この土間を考えると、そう違いはないのではないかとも思えます。
このような伝統的日本住宅の空間が消えていったのは
どういった事情によるものか。
たぶん、公団住宅という都市民のための住居が考えられたときに
なにLDKという、
床面積の広さが大きな住宅比較指標とされてからなのでしょうか。
戦後の復興期からの家族数の多い住宅において
個室数が優先された時期に
それと引き換えのように、消えていったものでしょうか。
あるいは、公団住宅が多層階の集合住宅として企画されたので
その両方の側面からの必然だったのか。

町家という存在が、基本的には商家などの
自営的な作業空間を必要としていたのに
住むだけという、武士住宅的なものが基本とされたからなのか。
武家住宅でも、しかし、台所的な空間には土間は見られるのだけれど、
あれは、水道や電気の普及、冷蔵庫などの家電品の普及という
台所の機能変化の結果、消えていっても当たり前と考えられたのでしょうか。

まぁ、以上のような考察が可能でしょうが、
そういった事情が働いて、日本人の空間から
土間空間が減少していった。
でも、土間の持つ自由度、開放感って、
やはり独特のものがあったのではないか。
建築工法で考えると、基礎を外断熱すれば
土間は、防湿を基本的に考えておけば
かなり自由に造作することは問題はない。
むしろ、マンションなどの集合住宅に対して
戸建てならではの自由空間として、土間を大きな魅力とすべきではないか。
この写真のように、コンクリートで固めるのが一般的ですが、
もっといろいろ研究していけば、面白い空間が作れるのではないか。
本格的な突き固めた土による土間も
調湿などの面で、有用性が高いのではないか。
挑戦するような建て主さんや、ビルダーさん出てこないでしょうかね。

北のくらしデザインセンター
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