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デザイナーの建築造形

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さて、先日、新住協総会が行われていた安比高原のホテル。
リクルートさんがバブルの頃に建てたリゾートホテルだそうです。
で、造形や色遣いが面白くて、聞いてみたら
専門の建築設計者ではなくて、亀倉雄策さんがデザインした、ということが判明。
亀倉雄策さんは故人ですが、
日本のグラフィックデザインでは、超有名な方です。
1957年 – 通産省(現・経済産業省)のグッドデザイン賞のロゴマークを手がける、
ということだそうで、まぁ、大家・大御所という存在。
そういう方ですので、こういうデザインの基本造形をしたのでしょう。
それと独特な色合い。
普通っぽくない、まことにシャープな印象という仕上がりですね。
なんですが、この建物の用途と、置かれた環境との見合いで考えたら、
いろいろに意見があるところでしょうね(笑)。
やはり建築のデザインと、造形デザインの違いというようなものに
ちょっと気付かされるような気がします。
やはりものづくりなので、
建築って、可能な限り美しくしなければならないのは当然ですが、
このような造形の「おもしろさ」とか「奇抜性」というのは
それを優先して考えるべきではないような気がします。
というか、あくまでも周辺環境との調和性とか、
その中に置かれることでの意味合いの部分での存在感、というようなものではないか。
造形のデザインって、どこにあっても同じというものでしょうが、
建築はそこに存在する、という意味合いが強烈なのではないか。
そういう事柄への配慮というのが、建築が持つべき姿勢であるような気がします。
どんなに奇抜であってもいいけれど、
それがそこに存在することで、ある「いごこちのよさ」につながっている、
という部分がとても大切なのではないでしょうか。
面白いけれども、
どうもここにこういうものが存在するという、存在感が希薄。
べつに亀倉雄策さんがどうこうではなく、
この建物を見ていて、そんな思いに駆られていました。
まぁ、リゾートなので別にいいとは思うのですが、
ちょうど、ある漫画家のデザインした自邸の色合いが
周辺住民から問題を指摘されているというようなことを想起させるものも
一部に、かすかに感じさせてくれました。
そういうようなのが、建築としての安心感の部分には不可欠なのだと、
あらためて思わせてくれるという意味では、逆に意味もある建築だと思います。
やっぱり「いごこちがいい」ということが
最大の評価軸なのではないでしょうかね、建築って?

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