今回、シルバーウィークを利用して
道東の中標津を起点にして、「環根室海峡地域」を
標津、野付半島〜知床と周遊してみた次第です。
日本全体で見ると「東の境界地域」というようになると思います。
長く日本史では、関東の東の先っぽを、日本の東端とみなして、
そこに鹿島神宮を建てて、尊崇してきた歴史だと思います。
鹿島神宮には、大太刀がありますが、
それは東夷を斬り従えるという意味合いがあることが明瞭で、
その所在地の先は、国外であるという認識があったことと思います。
征夷大将軍という国家の一将軍号が、実権の所在に変化していく
そういう大きなテーマで日本政治史は動いてきたといえる。
はるかに時を経て、日本海交易という物流システムが
日本の経済活動においてきわめて重要な位置を占めるようになり、
その活況の時代を切り開いた高田屋嘉兵衛さんによって
この海域の漁業資源開発が進められたような歴史がある。
そしていま、先の戦争の結果として、
国後島から東側はロシアの実効支配下にある。
晴天にこの海域を見晴らせば、豊かな生態系を育む、
列島社会にとっても有数の豊かな海域であることが見て取れる。
安倍政権は、ロシアのプーチン大統領とは
話し合いの糸口は摑んでいるように見える。
黒海周辺での領土紛争によって、
西側陣営はロシアを封じ込める外交攻勢をかけ
その一員として、日本もやむなく対ロ制裁を加えている。
安保法制の完了を踏まえて、対ロ外交はさっそく口火を切った。
ロシア側は、口頭では領土問題は話し合っていない、としているけれど、
岸田外相に対する対応は、想定の範囲内でかなり良好だと思う。
漁業資源に対する対日制裁的なロシアの動きも、
日ロ外交のいろいろなカードを持つという、そうした外交手段のように見える。
いったんは、プーチンの来日という外交約束はできていたので、
現実的な双方で受け入れ可能な了解点は、見えているのだと思う。
日ロ関係でもっともセンシティブな要素であるアメリカとの関係で
日本の安保法制整備完了は、ある種のフリーハンドを
安倍政権は手にしたといえる。
このタイミングでなら、対ロ融和的な動きを日本が示したとしても、
アメリカは柔軟姿勢を取れると日ロ首脳は見切っているのではないか。
高田屋嘉兵衛さんも、江戸末期、身を捨てる覚悟で民間人として
困難な日ロ外交交渉を成し遂げた。
対ロ関係ばかりではなく、
安保法制整備によって、日本はかなり「自主的」な外交戦略を
展開できる可能性が生まれてきたのではないかと期待しています。
この根室海峡地域が、大きく発展していく根拠が、
日ロ交渉によって、前進していくことを期待したい。
日本として、というより北海道人として
この豊かな海域を十分に開発させる経済発展の可能性を
大いに期待して見守っていきたいと考えています。
<下の写真は羅臼から国後島を望む>
Posted on 9月 23rd, 2015 by 三木 奎吾
Filed under: 日本社会・文化研究
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