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「住むこと」のコンシェルジュ

きのうは、藤女子大学の大垣直明先生の講演を聴きました。
北海道内の工務店の経営的研鑽ネットワークでの講演です。
地域工務店と、今後の経営のあり方を論ずる中で、
住宅建築の担い手の歴史的変遷に触れられ、
高度成長以前の住宅生産システムを担っていた「地域工務店」組織の実態把握と、
その後の、高度成長期の住宅づくりの主要プレーヤー組織であった
「ハウスメーカー」組織の対比を浮き立たせながら、
今後の人口減少社会での住宅生産の主要な担い手が「新・地域工務店」と想定され、
そうなる必然的背景とその役割について、語られていました。

なつかしい弁証法の図面がでてきて
わかりやすかった。
で、いくつかの「必然性」の概説があったのだけれど、
イマイチ、腑に落ちなかったのが、
今後の社会についての住宅建築の需要発生メカニズム。
個別分散的に発生すると想定されていたのですが、
その根拠はどうなのかなぁという疑問が1点。
次いで、「地縁的コミュニティの再生」が語られていたけれど、
はたしてそうなるのか、という疑問が2点目。
そして最大の疑問が、
これから求められる「新・地域工務店」の要件として
その地域での生活慣習や、気候風土への理解に裏打ちされた
生活コンサルタント的な機能が求められ、期待が高まるというくだり。
大変わかりやすいのだけれど、
はたしてそうなるとして、
具体的にはどのような形が考えられるのか、
っていうような思いを抱いた次第です。
で、表題のようなテーマが浮かんできたのですね。

この部分では、これからの日本人への豊かな「想像力」が試される。
生きる、とか、暮らす、ということへの
透徹した見方が必要な資質と言うことになっていく。
ある特定の個人、家族に対して
その生活の仕方についての「設計処方箋」を書いていくことになるワケですね。
暮らし方ソフトウェアというのはそういうことになる。
「新・地域工務店」にとっては、それが建築と重なる部分ということなのだけれど、
さて、ユーザーから信頼される、そういう資質を獲得するためには
何が必要か、ということになると、
まだ、未開拓の領域がそこに横たわっていると思う。

大垣先生の提起は、大変大きな示唆に富んでいて、
そこへの挑戦こそが大きな可能性に満ちていると感じるけれど、
具体的な解決の方向性は、まったく別のアプローチなのかも知れない。
そんな思いを強くした次第です。

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