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国策での省CO2

今週は住宅関係の企画催事が続きました。
きのうは、道産木振興の目的でのセミナーに参加。
最初の発言者として東京大学の坂本雄三さんが講演されました。
先生はさまざまな国の審議会の座長を務められて
いわば、国策としての住宅政策の中心にいる方。
日本の現状がよくわかりますね。

ヨーロッパは、北欧が長く住宅の高断熱高気密化をリードする存在だったのですが
環境問題が、「黒い森」の酸性雨問題や、チェルノブイリ原発事故
などの身近な問題がスタートラインになって盛り上がり、
「緑の党」などという環境問題政党が出現するまでになって、
ドイツが、環境問題の主要テーマとして
住宅にフォーカスしてやってきた歴史がある。
しかし、その過程で現在は、パッシブハウス運動という民間機関が定めた基準を
国家が採用して、さらにそれをEU基準にしていこうという
そういった流れになっている。
国家が、民間の活力を生かして行く方向で施策を進めている。

やはり、運動の動機に於ける
彼我の違いが鮮明になってきていると言うべきなのか。
日本でも環境問題への動機がけっして弱いとは言えないけれど、
やはり骨身の問題としての認識は少ない。
そうすると、国家が、そしてその中核としての
官僚と、その母体としての「官学共同体」が主導権を持って
「引っ張っていく」という形式になっていく。
で、この構図は、明治以来の国家体制の根本であり、
そういった意味では、民主党政権はあえなく、この体制の前に
潰え去ってしまったと言ってもいいのかも知れない。
資本主義が中国やインド、ブラジルといった新興国に広くビッグバンして
市場経済が一気に広がり、そのなかで、
「国家」というものの意味合いがずいぶん変化してきている。
中国は、日本の明治以来の近代化を格好の教科書にしながら、
「優秀な」共産党官僚テクノラートによる「独裁」という
たいへん、「国を引っ張っていく」のには適した政治体制を武器に
この現代で急激な成長を遂げてきている。
経済と国内世論のコントロールというのが
現代の国家の最要諦というようになってきているけれど、
そういった意味では、もう一度、日本もそのような体制が
「筋肉質の意志決定プロセス」である、と
認識され、取られていく可能性が高まっている。
政治の意志決定力を削いでいこうとするスキャンダル報道賛美は
どうも、このような背景を持っているのではないかと、
そんな思いをしていた次第です。
いずれにせよ、住宅という領域で変化が現れてきていると実感します。

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