サクラは札幌ではあっという間に咲いて、
そしてあっという間に葉桜に一変してしまっています。
この間の気温、天候などが成せる技なのでしょうが、
日本民族的なお祭り感が、札幌では一陣の春風のように
ほかのたくさんの春の胎動のなかに紛れてしまって、
じっくりとした余韻を感じることなく、通り過ぎて行ってしまう。
そういうのが北海道らしいともいえるのでしょう。
さてゴールデンウイーク中に、表題のように
函館に行ってきたとき、再度この茶亭を見学して来ました。
この香雪園を含む「見晴らし公園」では、ほどよい距離感で花見+BBQの
家族連れが刳りだしていて、ほほえましい情景。
本当に1本のサクラごとに1家族でBBQのコンロを囲んでいる。
春の陽光をたっぷりと浴びて、まことにのどかでありました。
この香雪園園亭、1カ月ほど前にはじめて訪れたのですが、
江戸末期から明治にかけて和服を商って財を成した「岩船家」が
その利益を注ぎ込んで造営した庭園です。
サクラの時期も紅葉の時期もすばらしいということで、
再訪させていただいた次第です。
今回は、やや枯れてきた池の方角から
外観を撮影してみた次第です。
この池には庭園内の地下水が組み上げられて使われているのですが、
年月を経て、その水が周辺の開発によって影響を受けているようです。
やや水量が乏しくなっています。
本来であれば、設計意図としてはもっと水かさの多い池の
水面からの反射光も期待されるのだろうが、と思われます。
外観のプロポーションは、まことに「結構」。
屋根頂部から石場建て基礎までのタテの長さと、建築全体の
左右ヨコ巾間隔、そして方形に近い屋根の傾斜角度、
さらに下屋の部分に回されている回廊の配置位置など、
全体のプロポーションは、ずいぶんと検討を重ねたに違いないと思われます。
長い年月、長期にわたっての鑑賞眼に耐えさせるのは、
建築者がもっとも繊細に検討を重ねる部分でしょう。
この建物はおおむね100年以上の歳月を経てきているのですが、
国の「名勝」指定を、和風建築として北海道では
最古であり唯一のものとして受けている存在であります。
北海道だけれど、こんな古格を感じさせてくれる建物として
まことに貴重だと思っております。
今回はサクラの時期にと行ったのですが、
この建築周辺は、やはり紅葉の季節がもっとも似合いの時期のよう。
その時期にもう一度来てみたいと、余韻にひたっておりました。
Posted on 5月 9th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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