写真は今回の1.29-30「地球の声」北海道住宅見学の鈴木理さん自邸。
鈴木さんは東京で設計活動を始められてその後北海道に移られた。
この地で設計活動をして行くのに、住宅性能面では
作り手の工務店組織の蓄積された経験知に大きく支えられてきたと
率直に語られていました。この写真はある居室の様子。
北海道では住宅性能が大きく発展したので、
工務店一般の技術レベルが高く、このような大胆な空間デザインが
破綻することなく実現している。
東京でのあるセミナーで建築家の堀部安嗣さんが
住宅性能が向上してきてそれまで無意識にあった設計制約、
たとえば「寒さが避けられないから」北側には居室を配置するような
プランを頭の片隅にも入れていなかったのが、
家中の温度差がなくなって、躊躇なく自由な設計が可能になった、
というように話されていました。
そのような自由は、まったく新しい「住む」体験をユーザーに提供できる。
この写真は、そういった「設計の自由」が端的に表れている。
間仕切りなしで室内に開放された浴槽が
しかも森の眺望に向かって大きく木製窓で開口している。
こういった設計デザインは家中に温度差がないことから
可能になっていることがあきらかです。
一方では雪がもたらす反射光環境というものの積極的な利活用も
再発見的に自然に起こってきているように思います。
雪は寒さももたらすけれどその反射光バウンド光の美しさもある。
写真のようなしずかな雪明かりを快適な室内環境から楽しめている。
日本人の花鳥風月感にあたらしい感覚も芽生えてきているのではないか。
窓面の結露をほぼ心配しないで済む「室内気候コントロール」が実現して
はじめてこういった設計プランは実現している。
内外温度差が冬場であれば常時30°を超えるような環境でも
窓面結露のない入浴を住む人に生活デザインできる、
そういった環境性能の力はなによりも得がたいものだと思う。
北海道にいる人間はこうしたことが実は稀有なことだという感覚すら、
徐々に薄らいで来ているのかも知れない。
冬場の日常生活から室内気候のバリアフリーが実現している。
冬や雪に対してごく自然にあった感覚、寒さや辛さといった感覚を
北海道の住宅では克服する技術がほぼ完成したことで、
こういう性能進化が、北国の生活環境を一変させている事実。
「室内気候をコントロールする」という意味での
環境住宅というコトバの実質を語ってくれているように思われます。
北海道では住宅の作り手たちは、ごく普通に
「環境との応答」のなかでデザインの可能性を探究し、
新たなデザインのためにむしろ、最新の環境工学との協働を志向している。
Posted on 2月 3rd, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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