写真はきのうも紹介した建築家・小室雅伸さんの住宅作品。
この写真は、まるで汽車のように横に長い建物に
玄関から入ってすぐのショット。
ずっと先の正面にはピクチャーウィンドが配置されているので、
訪れる人は、まず最初にこの「視線の抜け」を経験します。
ひとが「広さ」を認識するのは、まずはこの「視線の抜け」ぶり。
まずはこの長さにさわやかに驚くのだろうと思われます。
それを強調させているのが、屋根の構造木材が表しになったまま、
どこまでも連続しているリズミカルさ。
色調も、床のテラコッタタイル、素地表しのインテリアという
統一感のなかにあるので、正面の自然の緑がいっそう鮮やか。
よく見てみると、左手が南面なのですが、
これもきれいに揃えられた欄間窓の直線的配置も効果的。
小室さんの住宅デザインが
非常に良くわかりやすく展開しています。
こういうタイプのシンプルさが、かれの真骨頂なんではないかと思います。
敷地にゆとりがあって、
太陽光の取得に有利な敷地条件が得られたら、
まっすぐにその条件のメリットを最大化させる。
その単一目的に向かって、シンプルに全力投球する、
まるで、そんな印象を持たせてくれます。
まぁ、言ってみれば、デザインというものがきわめて「建築的」。
かれ自身が言っていたように、
「ダルビッシュが練習できるような」という
フレーズが、誰にでもわかりやすく感受できるような空間を作ってくれる。
こういうように作られた空間って、
まさにおおらかで、いかにも北海道らしい。
あぁ、こんな広いところに住んでいて幸せだ、って思える。
不良少年で名高かったダルビッシュが、
まっとうに本格派ピッチャーに成長できたように
そういうおおらかな雰囲気を持っているのが、北海道なんだ。
みたいな、イメージのふくらみを感じます。
そして、こういう空間が、全体として実に巧みに
温熱環境が考えられて、外の気象条件の厳しさに立ち向かっている。
実に「低燃費」で、ここちよくこの地での暮らしを満喫できる。
そういうがっしりとした温熱環境技術に裏打ちされているのです。
確かに受賞理由の「北海道の住宅のひとつの到達点」ということが
まさに明瞭に伝わってくるようです。
Posted on 11月 10th, 2007 by replanmin
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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