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ルーバーの効用

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最近の住宅デザインでよく使われはじめているな、と思えるのが
ごらんのような日射遮蔽用のルーバー。
いや、遮蔽と言ってしまうと違うかも知れませんね。
太陽光をコントロールするというのが基本的な用途であるのが
ルーバーだと思うのですが、室内光にいろいろな表情を生み出すための装置として
見直されてきているな、というのが実感でしょうか。
写真のような使い方の場合、室内に微妙な陰影が投影され、
時間の経過とともにいろいろ変化に富んだ光のデザインが現出する。
大体、設計者に聞くと夏至と冬至の太陽日射角度を想定して
その範囲内で、ルーバーの方向や角度などを検討する、という。
用としては、まことにその通りで、
夏至のきつい太陽光をその家の立地条件の中でやわらげ、
冬至の頃でも、やさしく太陽光を室内に引き込んでいくように考えるもの。
ただ、この写真のような様子を見ると、
格子模様が時々刻々と変化していく様がたいへん面白い。
考えてみると、日本の家屋って、格子を基本にした障子から
紙を透かした太陽光を室内に取り込んできた。
そういう生活文化的な伝統を、こういう外部ルーバーが今日、担っている気がする。
こんにちの北海道などの家屋からは、
障子やらの建具は減少の一途をたどっているし、和室自体も
存在しない率が高まってきている。
そんななかで、こうした外部ルーバーが
そういう部分の日本的感性を再生するような方向で取り入れられている気がする。
まぁ、必ずしも目的的ではない、
無意識的に意図されている、というような意味合いですけれど。
わたしは冬場など外での遊びが限られる生活を
強いられる、北海道で育ったものですから、昔から、
室内で、太陽光を意識させられるようなこういう陰影感への印象が強い気がします。
家の中で、ぼーっとして、ふと気づくと、
障子の格子模様を指折り数えていたり、
縦横斜め、と幾何模様のその連続性を、頭の体操のように楽しんでいた記憶がある。
そうした日常的感覚から、微妙な季節感を感じたりするのが
北国的な感性だったような気がしてならない。
こういうルーバーのデザインが今後、どういうふうに変化していくのか、
ちょっと、興味を持って移り変わりを見ている、というところなんです。
へんなところに興味を持つヤツだと、お思いでしょうか(笑)。

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