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神さまが彩色した屋根

なかなか落ち着いてブログを書いたりできない日々が続いておりますが、
きのうは、まぁ、相方側からの反応が来にくい日曜日。
こっちばかりでは仕事にならないので、比較的のんびり。
で、パソコンの中に溜まり続けていた写真から
ある目的で写真をセレクトして見ました。
ブログを書いていると、写真を撮りながらも無意識に
そういうテーマ性を探していたりします。
まぁ、それは同時に出版のために取材にも通じていて、
いつか、どういった形であるかはわからないけれど、
印象に残った事柄は、ブログに書き留めたりもしておく。
ただ、そういった一々を記憶している時間がなくなってきていて、
ふり返って、写真を眺めてみて
過去の時間と記憶が再生してくるのを信じるしかなくなっている。
でもまぁ、そういうのも一種の考えが発酵していくプロセスを
否応なく生成しているわけで、
悪くはないのかも知れないと最近、思うことにしています(笑)。

で、写真整理の結果、
この写真も思い起こされた1枚であります。
古民家ウォッチはわたしの比較的大きな趣味領域ですが、
ことし見てきたシーンのなかでも楽しかった瞬間。
茅葺きの屋根の美しさのある本質を見せられた気がしたのです。
山形県の古民家なのですが、
茅葺きの屋根北側面に、びっしりとコケが繁茂して
それが緑、いやよく見ていると実に複雑微妙な色合いを形成していた。
真物の自然素材を使っていると、
こういう神さまがつける彩色とでも言うべきシーンが
現実化してしまう。
これは、だれがやった仕業でもなく、
ただただ、その土地の自然風土がもたらした奇跡的な光景。
まぁ、こういう色合い、屋根のありようを
美しくないと感じる人もいるだろうとは思うのですが、
普通に考えると、これこそがエコロジーだと思う。
こういう屋根を見ていると、
日本人の自然との対し方の根源的な部分を知らされる思いがしてくる。
そして、たぶん、こういう部分にはインターナショナルに
通じていくような日本的感受性が切り口として示されているのではないか。

ことし、由紀さおりさんの「夜明けのスキャット」が
債務危機に揺れているギリシャなどで受け入れられているそうですね。
カナダでもアメリカでも、彼女の透明な歌声が支持されているという。
わたしたちには、日本らしさの本質を見直すことのほうが、
世界に対して必要な態度であるのかも知れない。
住宅の世界でも、
こういった感受性の部分を大切にしなければならないのでは?
そんな思いを抱いた光景でした。

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