アメリカ大統領選の帰趨はどうも明確にはならない膠着状態。
激戦各州で再集計作業が始められてメディア各社のバイデン勝利報道についても
「確定票」としては過半数270に届いていない、というアナウンスになってきた。
いま現在バイデン259対トランプ214ということでストップしている状況。
当面、このような混乱はどうも収まりそうもないようです。
そういうなかで新型コロナの広がりは予断を許さない。・・・
不確定要素の多い2020年11月。で、札幌は一気に冬景色。
このまま根雪になるとは思えませんが、朝の散歩は雪景色に突入であります。
ということで本日は伝統住宅探訪であります。
北海道で古民家とは縄文期以来痕跡が存在する。
有名なのはアイヌアイヌチセなんですが、北海道内での住居の系譜では
それ以前の時期とは、大きな「断層」が存在する。
最近よく取り上げている「竪穴住居」ではなく、
日本史の鎌倉幕府に相当する時期ころから、
それまでの竪穴に代わって「平地住宅」のアイヌチセが出現するのです。
図はアイヌチセの建築プロセスですが、見てわかるように
床面が平地のまま、基礎を掘り込んだりしないのです。
現代では竪穴伝統の継承とも言える「凍結深度」以下まで地面を掘り下げて
冬期の土壌冷却での「凍結」に気候対応するのが寒冷地住宅の基本。
むしろそれ以前は竪穴として気候対応していたのに、なのです。
なぜ、竪穴から平地住宅に代わったのか、という大きな疑問。
まぁ本州社会、ヤマト社会でも竪穴から徐々に平地住居に代わるので
よく似た事情がそこに投影されているのではないかと思っている。
そういった変化には「ミッシングリンク」がなにかしらあるのではと
想像できるのだけれど、なかなかそういう痕跡が明らかではない。
先日、移動採集社会から定住の住宅に移行した時期のミッシングリンクとして
「穴を掘る技術」ということに着目したのですが、
竪穴から平地住宅という場合には、どうもこういうのが見えないのですね。
動機についての想像では、竪穴の最大の弱点が春先になると床の土面が
湿潤になって乾燥状態になりにくく、いごこちが悪くなるという説がある。
江戸時代に北方探検した日本人が北東アジアの人々の竪穴を訪問して
そのような記述を残している。北海道と同様の寒冷地で、
竪穴は「冬の家」としてあり、併置的に「夏の家」として
高床式の通風重視の家も持っているという記述があります。
理解出来る合理的居住環境選択だと思われるのですが、こちらの
アイヌチセの場合は、竪穴から一気に移行している(と思われる)。
まぁ考えられるとすれば、気候の温暖化ということがありえる。
寒季の気温が平地住宅でも越冬可能なほどに上昇していた可能性。
さらにこの時期、竪穴のかまど+囲炉裏という「土器」ベースのキッチン環境から
広範に「鉄鍋+自在鉤」という囲炉裏だけで用が足りる「食卓革命」が
アイヌの人々の住環境を大きく変えたのではないかという説もある。
・・・いまのところは、想像の域は出ていないのですが、
このあたりの研究は不勉強で、説得力のある説明に出会っていません。
北海道の住宅革命というと、明治以降・戦後の高断熱高気密化が
もっとも大きな変化だと思いますが、それに遙かに先行してやや逆行的な
この平地住宅革命も現実に起こっていたのは事実なのです。さて真相は?
Posted on 11月 11th, 2020 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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