「課題最先端」北海道のシンクタンク北総研の人口減少社会WEBセミナーより。
きのうまでシリーズで「課題の最先端」ぶりをお伝えしてきました。
もちろんこの他にもたくさんの難題が山積ですが、
ようするに人口増加という社会条件と輸出主導型の産業構造という
戦後長く続いてきた「日本の経済社会環境」が人口減で激変時期を迎える。
長く続いてきたことで、それが当たり前のように思ってきたことが
そうではなくなってきて、それに代わる「持続可能性」が否応なく迫られる。
資本主義社会であることは不変。当然最小資本で最大経済効率を求める。
そして企業は当然のように右肩上がりの「成長」を求める。
このこと自体は変わりのない公理。世界の市場に打って出る企業以外の
「内需型」ビジネス企業にとっては、これは大きな転換期。
考えようによっては新型コロナ禍はそれをさらに後押しする要素かも知れない。
この効率主義の思考法が社会を支配し公益的部分・地方自治体運営も
「効率化」思考がこれまでは優勢に選択されてきた。
しかし地域企業にとって市場は縮小し、激烈な競争が避けられない。
アトキンソンさんという方が菅政権の参与として加わったことで
政権がある一定の方向性を志向していることも推定される。
人口規模は予測可能な2045年でピークから25%減がほぼ決定している。
人口減少が避けられない未来であるとすれば、
その条件下でどのような考え方で「生き延びていくべきか」。
いわば課題への「処方箋」もまたシンクタンクらしく素材を提供している。
上の図は日米での「幸福度」実感調査だそうで、
アメリカ社会では高齢者の「シアワセ」度が加齢と共に上昇している一方、
日本は加齢するごとに幸福感は減衰し、不幸が加速すると未来を想像する。
よく言われるように悲観主義じゃないとマジメではないと考えるのが日本人。
日本人は「根拠が明確でない楽観主義」のアメリカ人とは違って
「根拠がなければ悲観的に見る」メンタルだと知れる。しかし、
人口減少社会での大きな成員層の高齢者が本来前向きになる必要がある。
しかしこうした悲観的メンタルが支配的になった後、
そこから一気に局面転換する急激な変化が起こるのが日本史のパターン。
黒船のような「外圧」が日本社会を覚醒させメンタルの転換を図る気がする。
日本民族は危機が進行すると、無意識のうちに急転換を求めてきた。
明治維新のような時代変革、閉塞感打破の動きが湧き上がる可能性。
明治の時は近代化・工業社会化が求められたのだけれど、
日本民族の米作をはじめとする技術基盤が最大の発展資産として働いて
世界の最先端にあっという間に駆け上がった。
工業化社会に応用可能な技術資産に気づいた結果だった。
だから資源小国でありながら工業化に成功できたのだと思う。
今回の人口減少は過去の変革期と違って全人類的に遭遇しつつあるテーマ。
変革のありようは大きく違ってくるのだろうと思う。
一方下図はその「突破口」を匂わせるデータのように思われる。
悲観的な傾向にある日本人にとって、足下にあるシアワセ。
さらにここで挙げられたポイントは、効率主義とはあまり縁がない。
そしてどちらかといえば、都市部よりも郡部の方がメリットを感じやすい。
もちろん、さまざまな突破口があり得るそのひとつの可能性。
時代を乗り越えるタネは必ず自分たちの中にその可能性があるのだと思う。
工業化への成功的対応の原動力が気づかなかった民族技術資産だったように。
しかしコロナ禍までの海外からの観光需要の旺盛さは先行指標なのかも。
こういう「資産」をさらにどう役立たせるか、知恵と工夫が求められている。
振り返れば明治維新から終戦まで77年、終戦からはことしで75年。
世界と日本の大きな「節目」が訪れているともいえるのでしょう。
こう考えれば日本の魅力の根源・地方の生き残りは絶対に不可欠。
最後にWEBセミナーではひとつの方向性も打ち出していた。以下、あしたへ。
Posted on 10月 21st, 2020 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 日本社会・文化研究
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