写真上は毎朝散歩の札幌円山公園の「緑道」。
円山登山口から動物園入り口までの間、7-800mの距離で
自然起伏に沿って木道が巡らされている。
散歩者としては、足下に難渋することなく森の胎内に入り込んで
自然林の息吹を体感することができる。
きのう書いた「オオウバユリ」の群生であるとか、
杉木立の息づかい、併走する清流のせせらぎも聞こえ、
リスたちがそこかしこで顔を見せてくれたりする。
そういうコースを歩きやすい木道として整備している。
ときどき欧米系エトランゼの散歩者とも出くわし笑顔で挨拶したりする。
この札幌の自然を愛してくれている様が伝わってきて喜ばしい。
歩けることになんの気も使わずに使わせてもらえますが、
しげしげと見ていて、この木道って設計図はあるのだろうか、
あったとしても、現場での施工は相当に複雑だと知れます。
そもそも自然林の中で、なるべく自然を破棄しないで建築しなければならない。
最低限の根堀とかに留めなければならないことは自明。
コンクリートで基礎を固める、みたいなことはしていないのでは。
そのうえで複雑極まりない地面の傾斜とか凸凹と相談しながら、
ジメジメとした地面と格闘して施工している。
そういうことなので、毎年のように不陸や床板の傷みが発生して
ところどころで赤い工事標識が立てられていたりする。
利用者側としては注意喚起程度でいいので、一部通行止めなどは
不必要とも思うのですが、管理者としての札幌市としては、
万一のことがあったときの管理者責任からそういう危険・責任回避に
判断が傾くのはやむを得ないだろうと思います。
そもそもそういう注意喚起をしていても万一事故が起これば、
ユーザーの自己責任です、とはならないことも容易に想像できる。
たぶん行政管理側としては、そういったスレスレの領域で
こうした木道を維持し続けているに相違ない。
そして現場で、こうした工事を施工している人たちの技術的な労苦を
思うとき、あだやおろそかには歩けないなと思う次第。
2枚目の写真はこの木道の「基礎工事部分」。
実にいろいろな「建て方」をしているように思います。
ところどころ掘っ立ての柱が地中に入っています。それに床板の支えになる
土台木材が渡されて、その上に床板が乗せられている。
三次元的に凹凸する地面に対して一定スパンでの水平垂直を維持して
平面を確保し、それらをつなぎ合わせるように土台と掘立ての高低で調整。
まぁ設計図を作られているだろうと推測はできる。・・・
たぶん、1個1個の部材に対して
慎重にその形状、施工を考えざるをえないのでしょう。
ジメジメした森の中の3次元地形に沿った木道。
こういった木造技術が今後とも廃れないようにしていくことは、
現代の建築が果たすべき根本的使命だろうなと思います。
Posted on 6月 3rd, 2019 by 三木 奎吾
Filed under: 「都市の快適」研究, 住宅マーケティング
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