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【北海道・札幌の住宅市場は「先見性」がある?】

最近、東北をはじめ各地の「住宅マーケット」というものを
仔細に調査し続けているように思っています。
戸建て注文住宅というのがわたしどもの基本フィールドになるのですが、
住宅というのは当たり前ですが「土地の上に建てられる」。
したがって、地域性というものが不可欠な要素を構成する。
日本中、それこそ個別的でない住宅地域というのはあり得ない。
みなそれぞれに抜きがたい個別の違いを持っている。
そのうえで、次にどういう家を建てるということを考えるようになる。
こういった諸事情の複合的な結果として「住宅市場」が構成される。
この住宅市場を分析して、情報を創造していくのがわたしたちの仕事。
その過程では思わぬことがらが、決定的な要因になっていることに
ふいに気付いたりするようなこともまま、ある。

そんな日々を過ごしていて、
ひるがえって自分の本来のベース、北海道・札幌について
視線を変えてみるというようなこともある。
この地では明治の開拓期以来、積雪寒冷という自然条件への対応が
アプリオリに存在し続けてきた。
瓦屋根みたいな華奢な日本住宅文化はまっさきにダメ出しを食らった。
軒先に発生した氷柱をたたき落としたら、
この瓦屋根がもれなく滑落してきたのだとされる。
日本の伝統というモノがまったく通用しない、ということから
北海道では否応なく「フロンティア」として立ち向かうしかなかった。
そういう試行錯誤の結果、高断熱高気密という技術安定に至り、
まずはこのことが基盤を形成した。
一方でこの1年、南幌町での地域工務店+建築家の住宅展示場を
地方自治体の北海道が大きく支援するというような
まったく他地域では想像もつかないような事例ができたりする。
積雪寒冷という条件を克服する過程で
北海道庁や、その外郭団体・北総研などの研究開発が
地域の工務店・ビルダーを広範に巻き込んでいわば
「住宅運動」的に盛り上がってきたことが、
こういった未曾有のような事態も環境整備してきたとはいえる。
実際にこうした工務店組織が協力しなければ、
高断熱高気密技術の進展、開発はあり得なかった。
このような「住宅市場」というのは、やはりかなり「先進的」。
公的機関がこうした地域の作り手を直接にバックアップするのは
まず、例がなかなかないだろうと思われます。
そして、こうした先進性から生み出される技術だけではなく、
「住文化」というのはどんなものになっていくのか、
いまはそういったフェーズに移ってきているように思われてならない。

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