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【屋根の葺き方「柿」を「こけら」と読む?】


わたしは住宅のメディアをやっているわけですが、
現代の住宅は過去の技術資産の上に成り立っているとはいえ、
工法やディテールも大きく変わっているので、ときどき不連続な常用コトバに出くわす。
とくに屋根の葺き方については、わかりやすいディテールなので、
一般的にもよく使われるコトバとして頻用されます。
そのようなコトバの代表格がこの「こけら葺き」というヤツ。

現代では特殊な建築を除いて、一般住宅では見られない。
ふつうは鉄板や温暖地では瓦などが用いられて木材そのまま仕上げというのは
現代住宅では常識的にはありえないでしょうね。
それは現代の工業化の進展、素材の開発があってのことなので、
工業化社会以前の段階では、職人の木加工の精度、手間ヒマのグラデーションで
それが建築単価にはね返り、建築の「格」の表現にもなっていたのでしょう。
たまたま先日、仙台の大崎八幡宮に参拝したら、
清水建設さんの施工による修復工事が終わっていて、そこに
柿〜こけら〜葺きの見本と丁寧な「説明書き」が添えられていたのです。
写真の通りなのですが、この葺き方は大工職人の手間がハンパない事はわかる。
屋根をこの工法で葺くとすると、
幅10cm長さ30cmh程の板をずらしながら下から平行に重ねて並べ竹釘で止める。
板の間に隙間が生じ、軒裏の通気を促して木材の耐久性を向上させるとされる。
なるほど、現代建築と共通する合理主義が見て取れますね。
一種の「通気層」意図と言えるのでしょう。いや現代がこうした技術資産から学んで
現代的な合理的工法に進化させてきたということでしょう。ただ、
「杮葺きは通常40年程度の耐久性があるといわれている。
機械製板では木の繊維がせん断されるため、機械製板の板材を用いる場合には、
手作業の板材の場合よりも耐用年数が劣る。
そのため、下地の防水処理や、材木自体の防腐処理を施している。」ということ。
こういった建築技術が生み出した美観・デザイン性は
茅葺きの「民家」建築とはあきらかに違うという「威信」表現にもなったのでしょう。
用の建築技術としてみたときには、それまでの茅葺きと比べて、
圧倒的に「防水性」が高まっただろうことは疑いない。
屋根傾斜の下側から張り付けていって、上部まで仕上げる過程で、
その重ね密度を高めれば高めるほど、完璧な防水性に至ったことでしょうね。
たぶん、大工職人技術のひとつのメルクマールになっただろうことも推量できる。

さて、柿と同じような字で「こけら」という字がある。
すいません、Macの辞書にはこの字の登録がないようで出てきません(泣)。
詳しくは写真の「書き順」付きの違いでご覧ください。
こんなの違いがあると言われても、合理的差異を見出すことはほぼ不可能。
現代辞書では同じ字としているものも少なくないようですね。
大崎八幡宮の修復施工時に書かれた添え書きなのか、
日頃放擲していた疑問にわかりやすい説明書きでした。ありがとうございます。

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