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【断熱・蓄熱・遮熱 世界最先端技術を実証する家】


さて先般2回にわたってご紹介していた東北の高性能住宅ビルダーの雄、
北洲ハウジングの最先端モデル住宅・プレミアムパッシブハウス。
先日、4月28日には「報道関係」への完成公開日に見学が叶いました。
もちろんReplanの住宅雑誌枠としてではありますが、
同時に一住宅ブロガーとしてもご招待いただいた次第であります(笑)。

この住宅については住宅性能向上の目的をより社会的なメリットとして
たとえば年金生活になっても、光熱費が過大にならないようになど
人間的な目線で住宅性能が追究されていると、前回までに紹介しましたが、
そういった技術の根幹にあたるのが、「断熱・蓄熱・遮熱」という
住宅の基本性能を担保する事柄であるのは、言うまでもありません。
ちょうど今回の公開で、それらの技術要素について
北洲の住宅性能技術を支えているパートナーのみなさんが、
海外から、また北海道から来られていましたので、その様子をご報告します。

まずはドイツから断熱材メーカー・BASF社のDr.Katrin Nienkemperさん。
グラスウールの2倍の断熱性能を持ち、かつ火災に遭っても燃焼ガスが発生しない
なにより安全な繊維状断熱材である「SLENTEX(R)」のメーカーさんです。
ご存知のように中国での高層ビル火災やフィリピンでの日系企業工場大規模火災で
石油由来の発泡系断熱材の「安全性」についての論議が世界的に巻き起こっています。

いまはまだこのSLENTEX(R)は高価な断熱材ですが、
次世代の断熱材の要件を考えていったとき、安全性ということが大きな意味を持ちます。
化石燃料に依存しないエネルギーという近未来の志向性をあわせて考えれば、
こうした安全性の高い断熱材というメリットは注目していく必要があるでしょう。

アジア市場全体を統括するDr.Katrin Nienkemperさんですが、拠点は上海で
今回、アジアではじめてこの断熱材が住宅に使われ、
その機会にPRしたいと駆けつけたということでした。
ドイツは将来性も見据えて中国シフトが当然なのでしょうが、
日本法人として名古屋に拠点があり日本人スタッフも揃っているので、
たとえば北海道のような寒冷地域での今後の動向が注目されるところです。
また、関東以南でもこの安全性というメリットは注目される可能性があります。

続いて木製窓のメーカー、パッシブフェンスターを製造するラトビアのarbo社。
同社オーナーのヤニスさんとアンナさんが挨拶されていました。
わたしもノルウェーの木製サッシメーカー・NorDan社を取材訪問したことがあります。
そんなことから、ソ連から独立したバルト3国の真ん中の国ラトビアのメーカーに
強い興味を覚えて、質問させていただきました。

木製3重ガラス入りサッシがその製品ですが、居間の大型の引き違い窓や、
外部ベランダでの日射遮蔽効果が期待できないダイニングでの
外付けブラインド付き窓など、細やかな発注に応えて製造されていました。
この日射遮蔽、「遮熱」は室内環境にとってきわめて効果の高い性能要件で、
細やかに日射を制御するとともに、風などへの対応も不可欠な住宅パーツです。

窓枠の樹種はラトビア原産のパイン材ということで、
密度の高い年輪が刻まれた高品質なものが使われていました。
ラトビアって、人口も230万人ほどで北海道よりも小さな国。
大いに親近感を憶えた次第です。
日本とのビジネスチャンスを活かして欲しいと応援したくなりました。

そして最後に、北海道からの潜熱蓄熱材「エコナウォール」開発者の
室内気候研究所の石戸谷 裕二さんです。
潜熱蓄熱材は、塗り壁材に混合されて塗布され、一定温度で吸放湿を行うもので、
その室内環境調整機能は、次世代の住まいの「いごこち」を左右するといわれます。
調湿は温熱環境、その感受性に大きく関わる部分でもあり、
より「マイルド」な室内環境を実現してくれるもの。

石戸谷さんは、鎌田紀彦室蘭工大名誉教授の教え子で、
もっとも探求したいテーマとして「蓄熱」を鎌田先生も挙げられるとのこと。
このプレミアムパッシブハウスでの非常に大きな「実証」テーマといえるでしょう。
温湿度の長期的調査にとどまらず、住まわれる方の感受性の部分まで、
この「実証」は及ぶとされています。
近未来の住宅性能が目指すべきテーマとしてまことに興味深いところです。

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