さて、きのうの続きであります。
川島範久さんの「北海道の断熱技術について実例を見たい」
という希望に添って、いまの北海道の家づくりの現場を
いくつかの住宅見学として見ていただきました。
暮れの忙しい時期にもかかわらず、4軒の住宅をみることができました。
とくに1軒目は千歳空港にも近い恵庭市中心部の住宅。
こちらは小倉寬征さん設計、施工キクザワさんの住宅。
在来構造駆体GW105mm充填断熱と、2×6外側付加断熱140mm相当。
外壁の断熱厚みは245mmという重厚なものになりますが、
キクザワさんの施工現場としては最近ではほぼ一般的な仕様。
川島さんもHEAT20のG2グレードを温暖地域で追究しているということで、
非常に「応答力・聞き取り力」を感じさせられました。
断熱材施工のディテール詳細への強い興味・こだわりが感じられ、
設計者として真摯な姿勢を感じることが出来ました。
難波和彦さんの「箱の家」シリーズなどでの現場経験も豊富のようで、
彼我の共通点と、深化した北海道の断熱手法について
かなり突っ込んだやり取りが交わされておりました。
こうしてまずは構造・断熱施工の現場を見たあと、
札幌市内の完成住宅を合計3軒見学。
アテンド側の当方としては、まずは断熱が基本であって、
それからそれをベースに置いた「環境住宅」の地域的探求という
北海道的スタンスをご覧いただいた次第です。
わたしどもでクルマでご案内したことで、
車中さまざまに意見交換も出来て、たいへん有意義でした。
その後、北海道の住宅研究者、建築実践者など
合計10数名との「対論会」を企画して、大いに語り合いました。
〜Replanプレゼンツ 年末特別「対論会」企画
東京VS北海道「環境住宅対論~北海道住宅をめぐって」〜というもの。
北海道研究者側からほぼ同年代の北大工学部、森太郎・菊田弘輝先生。
住宅建築実践者として山本亜耕・小坂裕幸・櫻井百子・丸田詢子
藤島喬・須藤ホーム須藤芳己の各氏。その他数名のオブザーバー。
対論は大きな盛り上がりを見せ、その後の食事会会場でも
ご家庭をお持ちの女性建築家以外は各氏とも揃って参加されました。
くつろいだ雰囲気もあってさらに活発な意見交換、白熱の激論が展開。
しかし参加者の総意として、彼我の考え方の同質性について、
双方ともある了解点には達したものと思っています。
川島さんからは今回の対論を機会に、さらに相互理解をもっと深める
さまざまな機会を作っていきたいという前向きな発言もいただきました。
本州地区、建築界で中心的に活躍される若手研究者と
こうした相互理解の場を持てたことは、北海道にとっても大きなきっかけ。
北海道住宅の現在の地平を拡散する機会だと。
川島さんの姿勢を見ていて、断熱についての意識において
温暖地域にあっても世代が大きく変わってきて、
こういう南北対話が可能になってきたことが実感できた次第です。
さらにこの北海道研修のあと、翌日は仙台に新住協・鎌田紀彦先生も
訪ねられて、知見を深めたいという積極的な姿勢。
これまでの東京と北海道の二元論的なすれ違いからは脱却して、
断熱技術がベースという価値観を共有したうえでの論議が深まる予感。
この対論の模様については、Replanの取材として
今後の展開も含めて、誌面などでお伝えしていく考えです。
Posted on 12月 20th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備
コメントを投稿
「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」
You must be logged in to post a comment.