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高価格土地持ち庶民・サザエさん家はシアワセか?

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わたしは出版人ですので、毎年開催される「東京国際Bookフェア」には、
必ず見学参加しております。
同時開催される、出版関連イベントも興味があるワケです。
でもまぁ、その他に東京での家づくりの断面も感じたいと
いろいろ3日間、住宅も見学して回るのですが、その一環で、
サザエさん家をいまの時代に考えるというイベントもあったので、のぞき見。

住宅の方の「サザエさんネタ」というのは、よく使われます。
戦後の余韻の残る時代から始められた「サザエさん」は、
ホームドラマの基本形のように日本人に刷り込まれていますね。
そのサザエさん家は、高度成長とバブルを経て、
都内有数の住宅地にある敷地面積推定80坪以上なワケで、
とても「庶民の家」ではありえない。たいへんな「資産家」。
しかし、普段の暮らしではごく普通の日本人。
そこに暮らしている人たちが全員、所得が急上昇しているわけはない。
土地の値段は上がったとしても、それを所得上昇にリンクさせる方法は
一般人にはそうはない。売るしかお金にする方法はない。
売らないまま、そこに住み続けるのが一般的なスタイル。
東京都内に戸建て住宅を持っている、あるいは土地を所有している人は
おおむねこうした人々になる。
建築に携わる人間としては、そういったキャラクターのひとたちと
向き合って戸建て住宅の相談に乗っているのでしょう。
「1坪230万円の敷地をなんとか手に入れたけれど、
そこでお金は尽きてしまって、住宅には予算が1500万円しかない」
っていうような相談が、ごくふつうの相談なんだとか。
・・・ふ〜む、であります。
まぁ以前、都内の住宅取材もしていたので、了解できる。
こっちでは20〜30坪くらいが標準的な土地の広さなのでしょうが、
それでも土地だけで億単位前後になる。
億の土地に、1500万円の家というのは、なんともツライのですが、
住宅の設計者・施工者にとっては厳しい現実です。
展示されていた模型を訪れるみなさんに説明されていましたが、
この模型自体は、やはりそれ相当のコストを掛けた住宅プランとして、
楽しくプランニングされていました。
それ自体は面白いけれど、聞く側の反応もまた、それなり。
どうもリアリティの所在は感じにくいと思われました。

一方で、行きの飛行機でバッタリ出会った
札幌在住の建築家・照井さんに聞いたら、かれはよく東京圏の建て主の
住宅設計をしていて、きのうもその打合せだったそうです。
「こっちの建て主さんは、夏に過ごしやすい、冷房に頼らなくても涼しい家を
まるで羨望するように希望してくれる」と話してくれました。
たまたま機会があって、1軒2軒と住宅設計していって
その住宅を高断熱高気密仕様で、しかも日射制御を考えて建てたら
口コミで、友人知人にその輪が広がっていくということ。
東京で、高い土地コストの上に建てる住宅ユーザーとしても、
土地と住宅建築の費用バランスを取るのに、納得できるのは、
デザイン的な面白さよりも、むしろ住宅性能である気がします。
この土地で、暑さから自由になる生活が得られれば、
居住満足度は、しっかりと感受できるのではないか。
そんなふうに思いつつ、見学させていただいていました。

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