本文へジャンプ

酒容器の文化

7632.jpg
北海道の古い歴史文化を考えているのですが、
そのなかに大きな瓶状の土器が多く出てきます。
北海道と本州地域を往来するのに欠かせない船の安全運行のために
この大瓶に水を満たして、船の安定を図ったということでしょうが、
「水分を満たす」というそういう用途から考えていくと、
交易品として、酒はどのように運搬されたのか、
という疑問に突き当たり、
北海道地域では、たとえばアイヌ期でも
酒の生産はごく少量の果実酒くらいしか痕跡がなくて、
本州地域側からの交易品は酒が大きかっただろうという推測に至ります。
酒をどのように運搬したか、
これって、けっこう重要でやむにやまれぬ歴史の鍵を握っているかも知れない。
そんな思いをいつも思っていたのですが、
小林酒造さんの酒蔵で、資料として
たくさんの容器の変遷を見て、
そういう思いがまた、大きく膨らんできた次第です。
写真は、右側が木製の樽に薦(こも)被りをさせて、
その上に浮世絵を描いているもの。ビードロを吹く女という国宝級の絵柄を使用。
どうなんでしょうか、いいのかなぁ・・・。
まぁ、たぶん、著作権は消滅しているものでしょうから、
特段は問題がなかったのかも知れません。
しかし、こういう絵柄を使うというのは、
酒の容器というものが、
その時代の文化性をきわめて高く表現するものと言うことを表している。
一方、左側はひょうたんに酒を詰め込んだもの。
2升半の酒が入っていて、語呂合わせで
「益々(升升)、繁盛(半升)」という縁起物として、商売の節目のときの贈答品としての容器。
なるほどと、膝を打つようなあざやかな酒容器文化。
それだけで酒が半分以上空いてしまうような余韻のある文化性ですね。
このほかにも、陶器の酒容器であるとか、
各種祝いの席には欠かせない、携帯に便利な木の容器など、
モノを作るという文化を生み出す母体としての酒文化の大きさを物語っている。
樽なんて言う木製容器の作り方など、
手仕事の連綿たる伝統技術を感じさせる最たるもの。
こういう手作り文化が、現代ではほぼガラス瓶と、紙パッケージに置き換わってしまって、
なんとも殺風景な、酔えればいい、みたいになっている気がする。
「酔う」雰囲気作りに、丹誠を込めていた、
こうした歴史的表現物を眺めていると、
飽きずに見入ってしまう迫力が迫ってきますね。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.