先日の北陸出張時、見学した金沢城であります。
前回行ったときには、いわゆる観光地にはあんまり足を向けなかった。
しかし金沢城は、再建に当たって建築当時の「技術の再現」を
大きなテーマにして取り組んだということなので、
木造技術のお勉強と言うことで行ってみた次第。
外観写真は、菱やぐらという場所でして、
まぁ美しいシルエットを見せてくれているのですが、
軍事的なこの城の要衝で、北方・能登からの既存地元勢力に対しての
備えが、最大目的だった建物だそうです。
実は、この建物、構造材がすべて「菱形」のものを使っているのだそうです。
そんなヘンなかたちの材料を、組み合わせていくのに、
まことに精緻・絶妙な「木組み」で造作されている。
展示の中では、この木組みの様子をビデオ映像で
イメージ解説しているのですが、
金物1本使わず、木組みだけで仕上げている。
超複雑なレゴ構造になっているのですが、
こんなのどうやって考えたのか、ほとんどマジックショーであります(笑)。
ボランティア解説の方の説明では
構造的な強度を増すのだとか、あるいは軍事建築技術として
前田家オリジナルな木組み技術を凝らした、とも言われている。
でも、目的自体はどうもあいまいな闇の中、ということのようです。
加賀100万石ということで、
江戸期を通じて幕府からの監視が厳しかったことから
保守すべき軍事技術として、このような複雑精巧な技術を
ながく伝えていくために、
あえてこうした複雑な木組みにしたのかも知れません。
今回の復元工事でも、
こうした前田家の伝統が生きていたのか、
石川県の木組み技術の再生延命のために、地元の大工さんたちが
精巧に昔の木組み技術の伝承を大きな目的として
取り組まれたのだそうです。
ややアンビバレンツで複雑な気分にはなりますが、
まことに、戦争というのはさまざまな産業技術にとって
不可欠な発展要因であるのでしょうね。
不断にこういう技術伝承をしていたから、前田藩の平和な藩風もまた
涵養されたものかも知れません。
アヒルの水かきではありませんが、目に見えない部分の
軍事的緊張感が、平和な社会実現には
むしろ絶対に欠かせないのだと思います。
そういう先人の教訓は、きちんと見なければならない。
コメントを投稿
「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」
You must be logged in to post a comment.